参院選を前に、全政党が経済政策、憲法改正問題、原子力発電などで、それぞれ主張を打ち出している。
その中で特に気にかかるのが原子力発電に対する主張だ。
自民党はなんとも曖昧だが、どうやらなしくずし的にズルズル原発をすすめようとしているようだ。これは大いに問題である。
それに対して、他の政党は公明党を含んで全て"原発ゼロ"を打ち出している。原発が危険な装置であることは国民のほとんどが感じていて、その意味では"原発ゼロ"は、一見わかりやすそうだが、私には少なからずひっかかる。
野党の議員でも、原発に多少なりとも関心を持ち、原発について調査した人物ならば見当がついているはずだが、原発をゼロにするにしても、少なくとも30年近くは原発とつきあわざるを得ないのである。
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たとえばさし迫った問題は、東電福島原発をどうやって廃炉にするかということだ。
廃炉には40年近くかかり、5~6兆円の資金が必要である。それに年間数千人の技術者が必要となる。この資金、技術者、そして何よりも主体をどうするべきか。実は何もきまっていないのである。
それに現在の原発にはトイレがない。原発で燃やした核燃料を、どこでどういうかたちで最終処理をするのか、見当さえついていないのである。
原発にはこうした問題がおびただしくある。
"原発ゼロ"を主張していれば、こうした難問とかかわらなくてよいと考えるのは、あまりにも無責任だ。
くり返し記すが、何よりも自民党が、こうした諸問題に、具体的にどう取り組むのか、その責任体制を明確にすべきである。なしくずし的にズルズル続けるというのは危険きわまりない。
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だが、原発の諸問題には、野党だからといってただ"ゼロ"を主張していればよいのではなく、超党派でプロジェクトをつくって取り組むべきである。