先日、私とお姉ちゃんであるテレビドラマを観ました。
たまたまつけていたチャンネルで流れていたのですが、先にお姉ちゃんが見入っていました。
そのドラマは、今から30年以上も前にスタートした作品の再放送でした。
内容は、知的障害があるであろう主人公が日本中を旅して、その地その地で作品を作るというもの。その旅の中で、様々な人間模様などが描かれていて...。
昔のテレビドラマですから、現在の感覚では過激と思われる表現がいくつかありました。
その回では、主人公が立ち寄った定食屋さんにお世話になるのですが、お手伝いをしてもうまくいかず、とうとうそこの店主に「まかないを食べるな。頭の悪いのは半人前。半人前は、客の残りものを食べればいい」というようなことを言われてしまいます。
主人公は「ぼくは、バカだけど、人間です」と訴えました。
そして話は進み、店主が悪事を働きました。
主人公がそれを目撃して、周りの大人たちに知らせると、周囲の人たちは、「頭の悪いやつの言うことなんか信じられない」と聞く耳を持ちませんでした。
この一連の内容を観て、お姉ちゃんの肩がフルフルと震えているのがわかりました。
私「どうした?」
お姉ちゃん「お母さん、この人たち、酷い」
私「うん」
お姉ちゃん「どうしてこういうことを言うんだろう」
お姉ちゃんは怒りながら、ポロポロと大粒の涙を流していました。きっと、この主人公とこもたろを重ねたのでしょう。
私「昔のドラマだからね、まだこういう人への理解があまりなかったのかもしれないね」
お姉ちゃん「こもたろも、こういうこと言われちゃうの?」
私「それはわからない。長い人生、生きている中で、言われちゃうかもしれない」
お姉ちゃん「そんなの嫌だ」
私「そうだね。でも、こもたろも一所懸命頑張ってるから、そこを見てくれてる人はたくさんいると思うよ」
私「これは昔のテレビドラマで、こういう時代だったんだよ。でも今は、このドラマみたいな人たちは見かけないでしょう」
お姉ちゃん「うん」
私「それはこの主人公みたいに頑張ってきた人たちがいて、それを支える人たちが必死に伝えてきてくれたから、今こうして理解してくれる人が増えたんだよ」
私「お姉ちゃんが大人になる頃には、もっともっと理解してくれる人が増えてるかもしれないね」
お姉ちゃん「そうなるように、私も頑張る!」
私「お母さんも、頑張る!」
何をどう頑張ればいいのかはわからないけれど、出来ることをやっていこう。
先ほどまでは怒りに震え、ぎゅっと拳を握っていたお姉ちゃん。今度は拳を上にあげて、意気込んでいました。
~続く。
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