昨日のことですが、千駄ヶ谷駅前の津田ホールにて近隣住民への説明会がありました。
出席されていたのはJSCの方々、そして設計者を代表して日建設計の右高博之氏でした。
同時に、日本青年館の解体工事説明も兼ねて田中建設工業の鈴木正毅氏
司会はJSCの高崎氏でした。
この説明会というのは、なにも親切心で開かれたわけではなく、皆さんも道を歩いててみかけると思うんですが、マンションなんかの「お知らせ看板」。
そのルールにのっとっておこなわれたものです。
ほとんどの建築設計者なら経験のある確認申請を出す前にやっておく儀礼的なものです。
東京都では、昭和53年7月に「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」を制定しているんですね。
この条例とは、10m以上の高さのある建物(中高層建築物と呼びます)の建築計画に関し、
まず
1.標識を設置して
2.近隣関係住民に対する説明会の開催をし
3.発生した建築紛争についてはあっせん又は調停を行う
この場合の近隣住民とは
「計画建築物の高さを2倍した距離の範囲内にある土地または建築物の権利者及び居住者」
を指し。
紛争の内容も定義されていて
「日照、通風、採光の阻害、風害、電波障害、プライバシーの侵害等や、工事中の騒音、振動、工事車両による交通問題等の周辺の生活環境に及ぼす影響」
についてとされています。
この近隣住民説明会というのは、おそらくほとんど大半の設計者にとってイヤなものだと思います。
なぜなら、この会は「話し合いの会」ではなく、「説明会」であって、近隣の方々から何を言われてもやり過ごすしかない、とりあえず話を聞いたで済ませるものなので、たとえば施主に対しても強制力はないし、行政が何かをしてくれるものでもないからです。この会を開いて報告書を出さないと建築確認申請には進むことが出来ないからです。
大規模計画ならともかく、個人邸で数十坪の土地で近隣住民説明会を開くと(その時点で役所には計画図を提出済みなので)、もう一度計画の変更届けを出して報告書書いて、、となってしまうので、街場の設計士さんたちは通常の小規模ビルやマンションの計画では、4階をやめて10m以下の計画になるよう説得していると思います。
僕も必ず「多少の容積の増加程度なら、一部半地下にしてでも10m以下にしませんか?」と施主さんには言ってます。
ただし、周辺地域の方々が非常に気にされるようなケースでは、2階建て木造建築の個人邸でも近隣住民説明会を開いたこともあります。
と、いうわけで3月4日の津田ホールでのJSCによる「説明会」は、「問題の多い物件なので皆様にご理解を求めて開催した」のではなく、計画を前に進めるための通常の手続きです。
日建設計の右高氏の説明では1年前とな~んも変わってないのに「ポケットパークにより緑を増やし、歩行者の回遊性を高めたプランを心がけた。」と何度もおっしゃっていたのが大変印象に残りました。
まあ、違うな。
何言ってんだか、なんですが、
大体そういう解説をしますね設計者は、するしかないんです設計者は。
たとえ高いビルであっても
「敷地をずべて建物で占めるのではなく、高層化することで設置面積を減らし、足下空間を残しポケットパーク化し、緑のオアシスとしての公開緑地が環境や歩行者へ街並み空間に配慮して計画しています。」
と解説しますね。
話し合いじゃないから、とにかく印象を軽くしてやり過ごすしかないんです。
住民説明会も大荒れ ゴタゴタ続く新国立競技場の前途多難
そして!同日には
「聖地」鉄筋むき出しに、国立競技場の解体工事を公開
あああ、やっちまったかあ
というのもですね。
しょうがないんで漢は黙って
配布資料の新国立競技場の図面関係を眺めていたんですが、、
いつものことですが
あれっ!なんだこれ?
という部分をまた発見してしまったんですよ。
漢は
(2015年3月5日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)