2020年度にプライマリーバランスの均衡を達成するという財政再建目標の対象には、中央政府だけでなく地方自治体の財政も入ります。
平成29年度の国・地方のプライマリーバランス及び財政収支は、国が27兆円の財政収支赤字、21兆円のプライマリーバランス赤字であるのに対して、地方は0.2兆円の財政収支赤字、2.2兆円のプライマリーバランス「黒字」となっています。
少し前になりますが、平成25年度の地方の決算を見てみます。
まず、地方交付税を決める地財計画額では地方の歳出総額は84.1兆円とされています。これに基づいて地方交付税の総額が決まるのですが、この地財計画と対応すべき決算額は79.5兆円にしかなりません。
地財計画が実際よりも4.6兆円膨らんでいる疑いがあります。そのために地方交付税が必要額を超えて出されているようです。
この間、地方の基金残高は増え続けています。
2007 14.0兆円
2008 15.3
2009 17.2
2010 17.9
2011 17.6
2012 18.1
2013 19.5
2014 19.8
市町村の基準財政需要額と基金残高を比較すると、福島県大熊町の基金残高が基準財政需要額の8.41倍や新潟県刈羽村の8.13倍を筆頭に、3倍を超える自治体が26自治体、2倍を超える自治体が83自治体、1倍を超えるものが490自治体あります。
国は、一般会計予算から地方交付税を出すために国債を発行します。当然、国債には利払いが発生します。
その一方、地方交付税を受け取る地方は、それを使いきれず、基金に積み立てています。
それならば、地方交付税を本当に必要なところまで減額し、国債の発行を抑え、国の利払いを低減させるべきです。
プライマリーバランスを見る場合、地方自治体が基金に組み入れたものは支出に含まれず、基金からの支出は支出に含まれます。
今後、積み立てられた基金19.8兆円がいずれ歳出に回ることを考えると、大きなプライマリーバランスの悪化要因を抱えていることになります。
地方の基金が2020年度の国と地方のプライマリーバランスの均衡に向けて、悪化要因であることは間違いありません。
果たして現在の地財計画が正しいのか、それに基づいて支出される地方交付税が実際にどう使われているのか、きちんとPDCAを回す必要があります。
(2017年4月1日「河野太郎公式サイト」より)