行革推進本部で毎日のように予算関連のヒアリングしているが、やはりこれからの予算を考えると、社会保障の伸びをどう考えるかというのが最大の焦点になってくる。
社会保障に使われる税と社会保険料がどれぐらいになるかという見通しがある(病院等での窓口負担は入っていない)。2012年度に行われた推計だ。
それによると
年度 2000 2012 2025
年金 41.2 53.8 60.4兆円
医療 26.0 35.1 54.0
介護 3.3 8.4 19.8
其他 7.7 12.2 14.7
2012年度から団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度までに社会保障の給付費は1.36倍。
この間に年金の給付費は1.1倍にしか増えない。これはマクロ経済スライドという年金の伸びを抑える仕組みが発動されるからだ。
しかし、この期間に医療は1.5倍、介護は2.3倍に伸びる。
2012年度と2025年度を比較してみると
まず人口 2012 2025 2012 2015
75歳以上 1519 2179万人 11.9 18.1%(総人口に占める割合)
65-74 1560 1479 12.2 12.3
64歳以下 9805 8409 75.9 69.7
75歳以上の人口が数も割合も大きく伸びる。
1人当たりの国民医療費は
2012 2025
75歳以上 89.2 134万円
65-74 55.3 83
64歳以下 17.5 26
高齢者の数が増えるだけでなく、一人当たりの国民医療費が大きく増える。
さらに一人当たりの介護給付費も増える。
2012 2025
75歳以上 46.1 83万円
65-74 5.0 9
64歳以下 - -
医療と介護の給付費の増加を要因分析してみると
2012 2025 2012 2015
介護 8.4 19.8兆円 1.8 3.2%
後期 13.1 25.7 2.7 4.2 後期高齢者医療制度
他医 21.7 28.0 4.6 4.6 その他の医療保険
左は給付費の額、右はそれがGDPに占める割合。
介護と後期高齢者医療制度の給付は合計して年率6%伸び、その他の医療保険の給付は年率2%の伸びになる。
介護と後期高齢者医療保険の6%は社会保障の自然増と言われる部分だが、中身をよく見ると高齢化による部分が3%、医療の高度化による部分が3%に分解できる。
その他医療保険給付も医療の高度化が3%、75歳未満の人口減による給付費減が-1%、あわせて2%増。
高齢化による医療・介護の3%の伸びを吸収するのは現役世代の負担能力の伸びだが、賃金上昇率-労働力人口増減率は、内閣府の推計では2.9%から1.7%。保険料の伸びはこのあたりが限界になる。
一方、税負担はGDPの伸び程度と考えると内閣府の推計でも3%をわずかに上回るところから2%程度。
そう考えると、残った医療の高度化による給付コストをどう吸収するかは悩ましい。
いずれにせよ、財政健全化を目指すならば、社会保障をどうするか、待ったなしになってくる。(たぶん続く)
(2014年10月8日「ごまめの歯ぎしり」より転載)