最近、ITの世界では人工知能の改良に大量の資源が振り向けられている。こうしたトレンドの中で時代に取り残されないためにはどうしたらよいだろう?
TeslaとSpaceXのCEO、イーロン・マスクによれば「コンピューターと人間がさらに一体化すること」だという。
マスクは以前にも脳とコンピューターのインターフェイスが持つ大きな可能性を論じ、 「ニューラル・レース」〔SF作家、イアン・M・バンクスの創作に登場する脳・コンピューター・インターフェイス〕についても触れている。
今週月曜にUAE〔アラブ首長国連邦〕が主催するWorld Government Summitに登壇したマスクはこの点をさらにはっきり述べた。マスクによれば人類は近い将来コンピューターとの一体化をさらに進めることになるという。
ドバイでのマスクの講演は、昨年のRecodeのCodeカンファレンスでの発言を想起させる。
マスクはここで「ニューラル・レース」について触れ、こうした脳に埋め込まれたデバイスがコンピューターと人間を直結させ、思考でコンピューターを操作できるようになるとした。
これにより現在のキーボードやマウスを利用するインターフェイスに比べて脳とコンピューターを結ぶ帯域幅は大きく拡大し、逆にレイテンシーは減少するという。
CNBCによれば、マスクはドバイの講演で「われわれは人間と人工知能を共生させるこうしたインターフェイスを必要としている。このような方向で〔人工知能につきまとう〕コントロール問題、有用性問題を解決することができるかもしれない」と述べた。
AIの有用性は単に特定の問題を解決する能力だけでなく、その処理速度の速さにもある。
この場合、AIがネットワークを通じて他のデバイスと相互作用するスピードが重要だ。人間がテキストを読み書きするのに比べて、コンピューター間の情報転送速度は1兆倍も速い。
マスクは「AI全般が持つ可能性は別としても、自動運転テクノロジーだけでも社会を根本的に変革するような影響を与える」と強調した。
マスクよれば、自動運転テクノロジーは「人間にとって最大の雇用者になる」という。つまり自動運転が普及することによってどんな職が新た生まれるか、既存の職にどんな影響を及ぼすかを検討することが当面最大の課題だとした。
この点で、脳とコンピューターを直結するニューラル・インターフェイスは一つの解決の方法を示唆する。
人間の脳は、さまざまな面で、現在最大のコンピューター・システムの能力を上回っている。
マスクは「脳とコンピューターの間にある溝を埋めるようなインターフェイスが実用化されれば人類とコンピューターの間に起こるかもしれない齟齬を食い止めるために役立つだろう」という。
ニューラル・レース・テクノロジーを実用化するための研究を続けているとマスク自身が繰り返し述べてきたのは興味ある点だ。
画像: DAVID MCNEW/AFP/GETTY IMAGES
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(翻訳:滑川海彦@FacebookGoogle+)
(2017年2月14日 TechCrunch Japan「イーロン・マスク、「脳とコンピューターの直結」を主張」より転載)
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