誰一人取り残さない、多様性と包摂性のある社会を実体を伴った形で実現しよう! ~日本政府による自発的国別レビュー(VNR)に対する市民社会の見解~

日本が2030年までに目指す方向性を世界に示すことができました。

17日~19日までニューヨークの国連本部で開催されている「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム」(HLPF)の閣僚会議において、17日午後、日本政府のSDGsの進捗状況を国連に報告する「自発的国別レビュー」(VNR)が行われました。私たち日本の市民社会は、本レビューにおいて、岸田文雄・外務大臣が直接、「市民社会を含む様々なステークホルダーと対話を続けていきたい」と表明したことについて、これを歓迎します。

岸田外相が中心となって行われた本レビューにおいて、日本が2030年までに目指す方向性を世界に示すことができました。市民社会として、誰一人取り残さない、多様性と包摂性のある社会の実現を日本と世界の両方で目指していくと表明したことを歓迎します。特に、次世代の重要性を強調し、子どもの教育、保健、災害リスク軽減、ジェンダー平等、シリア紛争などに対し10億ドルを拠出するとの岸田外相の言及について、これを高く評価します。

今回のレビューでは、日本の政策と実施メカニズムについても報告がありました。これについての市民社会からの見解は以下の通りです。

1)「SDGs2030日本ビジョン」の策定を

主要な国家戦略・開発協力方針とSDGsを融合させていくため、「SDGs関連予算」を確保し、SDGsをどの分野でも主流化することが必要です。そのために「SDGs2030日本ビジョン」を策定し、明確な政治的意思とリーダーシップを示すことが必要です。

2)SDGs推進本部の機能拡充と実効的な省庁間連携の枠組みを

上記ビジョン策定・予算確保に向けSDGs推進本部の機能を拡充するとともに、各省庁に「SDGs部局」を設置し連携を図るなど、省庁間連携の枠組みの構築を進めることが必要です。

3)SDGs実施への幅広い関係者の参画拡大を

日本の各地域で「誰一人取り残さない」活動をしている人々をはじめ、幅広い社会セクターの参画を保障すべきです。

本レビューの基本メッセージは、SDGsの達成を若者・女性を中心に進めていくということです。本日の力強いメッセージを、日本、世界で実体化し、現実の不平等や格差を具体的な政策によって変革していくことが望まれます。VNRの席上では、どのような発表も可能です。それを実態あるものにしていくことがこれからの日本に問われているといえるでしょう。

最後に、国連が現在行っているVNRの形式は、各国の現実や政策の在り方をレビューし、施策の改善を求める本来の「レビュー」の在り方と大きく異なっています。エビデンス・ベースで評価可能なものになるように、レビューの指針策定を検討することを提案します。

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