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2018年07月06日 18時35分 JST | 更新 2018年07月09日 11時16分 JST

パリコレ初のプラスサイズモデル、ベルベット・ダムールが実現したい世界とは

『VOLUP2』の絶対的使命はファッション業界が置き去りにしてきた人物たちをピックアップすること

世界的なモデルかつ写真家でもあるベルベット・ダムールが『美』そのものの捉え方を多様化させることで、メインカルチャーやファッションがもっと包括性を高められるコトを主張するために今、全力で取り組んでいる。

ジョン・ガリアーノやジャン・ポール・ゴルチエの衣装を身に纏い、パリコレのステージを闊歩してきた唯一のプラスサイズモデルとして知られるベルベットは彼女の運営するマガジン『VOLUP2(ヴォルアップ2)』にて、ヘフティ(プラスサイズ)ファッションに於ける実績をこれまで積んできた。

『VOLUP2』はこれまで、幅広いさまざまなサイズの洗練されたファッションをエディトリアル(ブランドの宣伝より芸術性を重視する)に紹介することに全力を尽くし、ガガやブラッド・ピットも参加した世界的に有名なファッションカルチャー誌 『V MAGAZINE 』と並び称され、また『V MAGAZINE』 以上に多くのカーヴィー(プラスサイズ)モデルたちを特集してきている。

「ファッションメディアが、主流である標準サイズのモデルたちばかりをエディトリアルに扱うコトに慣れてしまっている昨今、プラスサイズ女性を同じようにエディトリアルに扱ってくれる写真を目撃するケースはきわめて稀だわ」とベルベットは言う。

『VOLUP2』の最新特集、『OPHELIA(オフィーリア)』と『LIVE THE FULL LIFE(リヴ・ザ・フルライフ)』はそれを実現させるべく、プラスサイズボディに洗練されたエディトリアルセンスを取り入れた。イギリス北西部スタッフォードシャーにある、Sugnall Hall(サグネイル・ホール)の庭園を舞台に撮影された数々の写真は、カラフルで鮮烈でありながらもそれでいて、とても調和のとれたロマンスの世界へと読者たちを誘う。

オフィーリア』は、イギリスの典型的な田園風景とは趣が異なる、ラファエル前派の画家たちの作品によってインスパイアされた青白い、どこか翳のある豪華な祝宴を描いている。それに対して、『リヴ・ザ・フルライフ』はありとあらゆる原色を使った派手なオートクチュールを心から欲する女性のためにデザインされ、幅広いサイズを取り揃えたブランド『Sara BROWN'S (サラ・ブラウンズ)』を身に纏ったアフリカ系モデル、ネトサイを特集している。

VOLUP2

ベルベット曰く、「もし貴方が冥土でペルセポネの庭園パーティーに出席したら、サラ・ブラウンズを着て、日没のときに黄色い水仙のお花畑で飛び跳ねてしまっていることでしょうね」

『オフィーリア』は、ロンドンを拠点とし『Curves n Curls(カーヴス・イン・カールズ)』というウェブサイトを運営しながらブロガー、インフルエンサーとして活動しているハーレー・スチュワート( https://www.instagram.com/curvesncurlsuk/ )がモデルに選ばれた。

ハーレー曰く、「ベルベットのような人たちって、ファッションを開拓する現場の最前線に立っているのよ。彼女の独創性とヴィジョンを以ってすれば、現状が信じられないほど了見が狭くて、ファッションがごく一握りの限られた人たちだけのものであることがよくわかるの。この手法の撮影が私のような女性たちにとっては革命的なことになってきているわ。ベルベットはファッション業界全体の恣意的な解釈による美意識に勝負を挑んでいるの。だからこそ彼女が好き」

VOLUP2

『リヴ・ザ・フルライフ』では、ジンバブエ生まれのアフリカ系イギリス人のプラスサイズモデル、ネトサイ・ティナレス・ダンダジーナ( https://www.instagram.com/africanbritishcurvemodel/ )を特集。

彼女曰く、『今までで最高とされるモデルの一人と仕事をしているのは確か。でも、相手をモデルとして理解してくれる写真家との仕事とは別物かもしれない。今回のVOLUP2での経験が、ただ単にプラスサイズモデルをエディトリアルに扱って欲しいという私の途方もない夢より遥かに偉大なヴィジョンを与えてくれたわ人によってはVOLUP2での仕事がチャレンジだったと捉えるかもしれないけれど、私はこれこそが人生最大の励みになると断言できるの」

「『VOLUP2』はまたエディトリアル・マガジンのみならず、より多くの在来の出版物に対しても、多様性と包括性を高めることができるコトを主張すべく真っ向から挑んでいるの。

世界中でほぼ毎日、ありとあらゆるサイズのファッションが実際にはリリースされているにもかかわらず、特に地方局のメディアは一貫して大手メディア同様若い、白人の、それもクッキーカッターサイズ2(2インチ=ミニサイズ) のモデルたちばかりを選ぶことで、圧倒的大多数の声を潰しているのよ。

もし、1人でもいいからプラスサイズモデルを選んでくれさえすれば、慣習的なカタログスタイルのイメージで、エディトリアルなイメージが売りのシャープで骨と皮だけのような、ラインだけが美しいモデルでは出来得ないような、ありとあらゆるサイズのファッションを十中八九特集できるはず」と、ベルベットはそう熱く語る。

長きに亘って、ベルベットはプラスサイズファッションの有名モデルたちを撮影してきた。デニス・ビドット、ハーレー・ハッセルホッフ、リリス・クロッセ、そしてクレモンティーヌ・デュッソー等。ほんの数例を挙げれば、さまざまなサイズ、体型、人種そしてさまざまな能力を持つ人等も一通り扱ってきた。

ベルベットのミッション、それは、ひげを生やした女性、火傷を負った人々、身体障害者、トランスジェンダー、アルビノ(生まれつき色素が欠陥し、肌が白い人)、お年寄り等従来のファッション業界ではほとんどといってもいいくらい扱われなかったモデルたちを称賛し、下手に衝撃的な捉え方をせず、良心的かつ包括的にこれを記録することである。

多くの出版物がファッションの多様化を権威的に扱っている昨今、『VOLUP2』の絶対的使命はファッション業界が置き去りにしてきた人物たちをピックアップすることで、多様性の本物の美しさを表現しまた、称賛することである。

(翻訳:川上太郎)