先日の『漏れなくダブりない家事の方法』に色々コメントありがとうございます。
- 家庭の経営は企業と一緒で戦略的なマネジメントが必要である
- 重要なのはトップのCEOレベルと2層目のマネジャーレベルであり、実際のタスク(任務)を行うプレーヤーレベルにはめまぐるしく変化する外部環境(転職・進学・引っ越しなど)・内部環境(子どもの成長・病気など)を鑑みながらリソース配分・調達を行うべき
ということが言いたかったのですが、乳飲み子を抱えて寝不足の私が夜なべしてつくった(←嘘)稚拙な役割分担チャートに興味が集中してしまったようです。
その中でも2つ嬉しかったコメントがあったので、今日はそこを掘り下げます。
三遊間はすべて妻が担うことに(><)
すごい。こういうのがあると燃える男性が多いかも?
そうです、そうです。
政府や大企業の女性活躍推進とかって自分自身は家事の「か」の字もしたことがないおじさんたちが言ってると思うのですが、野球に例えたり、組織図で説明したり、おじさん達から見てブラックボックス化している家事・育児をわかりやすく説明する努力は必要だと思います。
まず、「三遊間」ですが、守るのは三遊間だけではありません。 外野に抜けた球もイレギュラー球もワイルドピッチも全部拾います。 家事・育児の主戦力である(主に)女性の守備範囲の広さは全盛期の新庄も真っ青です(注1)。 野手だけではなくスコアつけながら監督するし(というか監督が本業)、ボールボーイだってします。
ゴミ出しや子どものお風呂入れは、動かなくて済むように目の前に打ってもらった凡ゴロや凡フライです。
「夫も、たまには皿洗いやゴミ出しなど手伝いますのよ、おほほ〜」発言などで指す「家事」は凡ゴロ・凡フライであり、次の2つの仕事への視点が完全に欠けていると思います(注2)。
1. 特に子供が小さい時に多いワイルドピッチや悪送球の多さ
2. 対戦相手のデータを調べつくして頭に入れ、試合展開に応じて瞬時の判断・指示を出し、個々の選手をモチベートし実力を引き出す監督・コーチ業
1. ワイルドピッチ・悪走球
子どもが小さい時にとにかく多い風邪・病気。 仕事中に携帯が鳴るたびにビクビクし、発信者が保育園だった時に思わず無視してしまった経験があるのは私だけでしょうか?
夫は可能な限りフレキシブルに仕事を調整できますが(例えば前回の妊娠中は2ヵ月も特別体制を敷いてくれました→こちら)、社外にクライアントがいる戦略コンサルという職業ゆえ「自宅勤務など特別アレンジが必要な時は1週間前には教えてくれ」と言われています。 つまり子どもが病気になると対応のデフォルトは私です。 「フリーだから時間の融通が利いていいわね」と言われるし、実際にそれが魅力でキャリアチェンジしたのですが(以前は残業・長期海外出張、何でもありでした)、フリーでもプロジェクトの締め切りもクライアントへの責任もあるし、病児を看病している間できなかった仕事は夜子どもが寝た後に持ち越されるのです。
子どもが3人にもなると暴送球が2個、3個と飛んできて、さすがの新庄でも"どこでもドア"でもない限り捌ききれないこともあります。 先日は、次男(2歳)が水ぼうそうで保育園に行けず高熱が出て昼寝している最中に病院から電話が。 長女(当時生後2ヵ月)が受けたある精密検査で疑わしい結果が出たので今すぐに病院に来い、という無慈悲な内容(注3)。 長男(4歳)は小学校に行ってる最中で送迎が必要。 まさか「妹が病院に行かなきゃいけないので早退させてください」と学校に言うわけにもいかない、「学校が終わる時間(午後3時)を待って3人連れて病院行こうか? 次男の水ぼうそうって伝染病なのに病院の待合室とか行っていいのか? だいたい熱出てるし。 病院行ったら何時間待たされるかわからない、すぐ夕食の時間だし夕食持参で行くべき?」など頭を悩ませたところでスーパーマリオのゲームオーバーの音楽が鳴り、夫に電話。 結局、クライアントとの会議をキャンセルし夫が帰ってきました。
私が育休中ですらこの状況。 働いていてこの役割をやるのがどんなに辛いかは推して知るべし。
ワイルドピッチは病気だけではありません。 「雪で保育園が休みになってしまったのに会社はある」、「子どもを抱っこして帰ってきたら途中で靴が脱げたことに気づかず子どもの靴を紛失。 明日、履いて行く靴がない!」、「バスの中で子どもの顔色が悪いと思ったらゲロってしまった、子どもも自分も替えの服がない」など不測の事態はすべてです。 子どもは不測事態の塊でできていると言っても過言ではありません。 こういう事態を冷静に的確に捌くのはなぜか妻の役割になっています、普段から不測の事態に直面し続けていない人は全く使えません。 緊急事態への対応を自分ごとと捉え、その事態に備えた物的・人的ネットワークへの開拓・投資を行っていないからです。
長くなってしまったので続きは次回に。
注1:古くてすみません・・・ プロ野球の記憶は1番 和田、2番 亀山、3番 オマリー(以下略)の阪神時代で止まっています。
注2:私は一国の首相はゴミ出しとかせずに自分の影響力がもっと発揮できる事項に時間をつかった方がいいと思いますが、それはまた別の話。
注3:さらなる検査の結果、何事もありませんでした。
(2014年12月1日「世界級ライフスタイルのつくり方」より転載)