英国の大衆新聞サイトMail Onlineの勢いが止まらない。一昨年前に月間ビジター数でNYタイムズのサイトを追い抜き、世界で最も人気の高い新聞サイトとなっているが、ビジター数がさらに増え続けている。先進国の主要新聞サイトの多くが有料化で生き残りを賭けようとしているが、Mail Onlineは無料サイトとして突っ走り、多くのユーザーを獲得して広告売上を増やしていく。
今年5月の一日当たりのユニークブラウザー数は820万で前年同月比で46.8%も増えた。月間のユニークブラウザー数は1億2900万に達した。前月比で7.99%も増えている。(Guardianの記事では、わかりやすく月間ユーザー数と言っている)。英ABC(the Audit Bureau of Circulations)の発表データで、英国の他新聞サイトと比較すると次のようになる。海外からのトラフィックも加えている。
*National newspaper website traffic for May 2013 (source ABC)
Mail Online: 8,234,043, up 46.8 per cent
Guardian.co.uk: 4,665,414, up 37 per cent
Telegraph: 2,853,819, up 12.7 per cent
The Sun: 1,777,360, up 16.4 per cent
The Independent: 1,203,826, up 68.9 per cent
*Total for monthly browsers
Mail Online: 128, 599, 300
Guardian.co.uk 82,927,697
Telegraph.co.uk: 57,086,520
The Sun: 29,919,982
The Independent: 26,651,531
Mail Onlineは米国市場に本格的に参入し、米国内ニュースに力を入れ始めている。このため英国外の海外からのトラフィックが急増しており、月間ブラウザー数でも66.6%が海外からとなっている。つまり約8570万が英国外からのトラフィックとなっている。
この勢いを加速化させるために、編集スタッフを増やし海外オフィスも拡充していく。最近の増員で、編集スタッフは100人を超えた。Mail Onlineは新聞紙The Daily Mailの公式サイトとなっているが、Mail Onlineの編集は独立している。つまりオンライン編集に専任となっている。ロンドン、ニューヨーク、ロサンジェルスの各オフィスの編集を拡充するという。インドにもオフィスを構えているようだ。
ビジター数が急増している割には、広告売上高はまだ少ない。年度下半期(2013年3月末までの半年間)の広告売上高は2000万ポンドで、前年同期比で61%増と伸び始めてはいる。でも年間で4500万ポンド(67億円)程度である。特に米国のオンライン広告市場からの売上が少ないので、いかに増やしていくかが鍵となる。
◇参考
・Mail Online goes on editorial hiring spree to capitalise on 'massive opportunities for growth' in UK and abroad(PressGazette)
(※この記事は7月18日の「メディア・パブ」より転載しました)