松井一實・広島市長、平和宣言で政府交渉を批判 インドとの原子力協定交渉に言及

広島への原爆投下から68年となる6日、平和記念公園で開かれた式典で松井一實(かずみ)広島市長が今年の「平和宣言」を読み上げた。その中で「原爆は非人道兵器の極みであり『絶対悪』」と訴えた…
時事通信社

広島への原爆投下から68年となる8月6日、平和記念公園で開かれた式典で松井一實(かずみ)広島市長が今年の「平和宣言」を読み上げた。その中で「原爆は非人道兵器の極みであり『絶対悪』」と訴えた。

そして、日本がインドとの間で進めている「原子力協定交渉」について「経済関係の構築には役立つかもしれないが、核兵器廃絶にとっては障害になる可能性がある」と安倍政権の方針を批判した。

「今、核兵器の非人道性を踏まえ、その廃絶を訴える国が着実に増加してきています。また、米国のオバマ大統領は核兵器の追加削減交渉をロシアに呼び掛け、核軍縮の決意を表明しました。そうした中、日本政府が進めているインドとの原子力協定交渉は、良好な経済関係の構築に役立つとしても、核兵器を廃絶する上では障害となりかねません。ヒロシマは、日本政府が核兵器廃絶をめざす国々との連携を強化することを求めます」

広島市・平和宣言より)

■インドとの原子力協定交渉の問題点とは

今年5月、安倍首相は来日したインドのシン首相と会談し、インドへの日本の原子力関連技術の輸出を可能にする「原子力協定交渉」を進めることで合意した。人口増加と経済成長が続くインドではエネルギー需要がますます高まっていくことが想定され、日本の発電技術を輸出する優良なマーケットの一つと考えられている。

しかし、インドは核保有国であるにもかかわらず、核拡散防止条約(NPT)に入っていない。パキスタンとの緊張関係の中で最初は平和利用の目的で進めてきた原子力開発が、いつの間にか南アジアでの「抑止力」としての核兵器を生み出すことになってしまった。そうした状況の中で、軍事転用の可能性もある国へ日本の原子力技術を輸出してもいいのかという不安がささやかれている。日本は被爆国として、インドと経済連携を強化しながらも核不拡散体勢に組み入れていく努力を重ねていくべきだろう。

■被爆国・日本の果たすべき役割とは

安倍首相は式典でのあいさつの中で、

「私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります」

(首相官邸 「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式あいさつ」より)

と述べた。

日本政府は今年4月、ジュネーブで開かれたNPT再検討会議で「核兵器の不使用を求める共同声明」に署名せず、被爆地の広島・長崎から強い抗議の声が上がった。

2015年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、スイス・ジュネーブで開かれている第2回準備委員会で、核兵器の非人道性を訴えて24日に発表された共同声明に、日本政府は署名しなかった。米国の「核の傘」に頼る安全保障政策と整合性がとれない、と判断した。

(朝日新聞デジタル 「『核の不使用』共同声明、日本署名せず NPT準備委」 2013/04/25 21:17)

世界で唯一の戦争被爆国である日本には、核廃絶に向けてリーダーシップを担って欲しいという世界からの「期待」がある。安倍首相にはその期待を軽視せず、核保有国に物申せる数少ない国として積極的な外交を展開していくことが求められている。

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