ドイツの再生可能エネルギーが過去最高に 電気料金・用地買収など課題山積み

脱原発をすすめるドイツで、再生可能エネルギーの占める発電割合が、過去最高になっていることがわかった。しかし、電気料金や用地買収など、まだまだ課題が山積みの状況だ。
Frank Krahmer via Getty Images

脱原発をすすめるドイツで、再生可能エネルギーの占める発電割合が、過去最高になっていることがわかった。しかし、電気料金や用地買収など、まだまだ課題が山積みの状況だ。

ドイツ・エネルギー水道連合会によると、2013年におけるドイツの総発電量のうち、再生可能エネルギーの割合が23.4%と、2012年の22.8%に比べて0.6%増え、過去最高となった。一方、原子力発電の割合は15.4%となり、2012年の15.8%に比べて0.4%減少した。

ドイツは2022年までに原子力エネルギーを段階的に廃止し、2050年までに、電力の80%を再生可能エネルギーでまかなうことを目標にしている。

そのためにドイツでは、再生可能エネルギーによって発電された電力を高額で買い取る「固定価格買い取り制度」が2000年に導入された。電力買い取りを政府が保証することや、2004年には太陽光発電等の買い取り価格の引き上げを実施したこともあり、再生可能エネルギー産業に参入する企業が増加した。

しかし、電力買い取りに使われる費用は市民が負担することになっているため、企業は再生可能エネルギーの発電で収入が保証される反面、市民が負担するコストが年々増えている。3人家族の場合の電気料金例では、1kw時あたり2000年は13.94セントだったのに対し、2013年は28.50セントと2倍以上に増えた。

家庭の負担が増えた理由について、環境省の資料では、平均買い取り単価が増えた一方、卸電力取引価格が下落していること、そして、費用負担を免除される企業数が増えたことによる一般家庭の負担増などが指摘されている。

また、発電施設だけではなく、蓄電の技術や送電網の整備も課題の一つだ。常葉大学の山本隆三教授は、ドイツの標準家庭の再生可能エネルギー導入支援の負担額が年間3万円に迫っていることについて、風力発電を例にその理由を指摘する。ドイツの北部は風が強いために風力発電所が集中しているが、電力需要が大きい南部への送電能力が不足しているため、送電線建設が計画されている。しかし、高圧線からの電磁波の影響などを懸念する地主の反対があり、用地買収が進んでいない。

電力はコストを掛けなければ貯めることができず、捨てることもできない。このために需要量に合わせ、水力、火力発電所の稼働率を変えることにより発電量が調整されている。再エネは需要量に合わせて発電することはできない。発電量が不足するときには、他の発電設備を利用し電気を送ればよい。

 

しかし、発電が過剰になったときには問題が生じる。風は夜間に吹くことが多い。一方、夜間の電力需要は少ない。このために欧州では夜間に発電量が過剰になることがある。再エネ設備を切り離せばよいが、再エネ設備の収入はFITで保証されているので、切り離しはできない。余った電力を買い取ってくれる先を見つけなければいけない。

 

どうしても見つけられなければ、お金を払い、輸出する方法がある。夜間に電力が必要ない受け手は、わざわざ自社の発電所の稼働率を落とし、余った電力を受け取ることになる。すでにドイツ、デンマークから輸出される電力には実例が出ている。それに必要な資金も需要家負担だ。

(日本商工会議所「独・英、エネルギー価格上昇に苦悩」より 2013/12/06 16:54)

しかし、2013年のドイツ連邦議会選挙でも、再生可能エネルギーのコスト増はそれほど批判にならなかったと、シュタンツェル前駐日大使は話している。

エネルギーコストは政府にとって重要な課題です。今までは、再生可能エネルギーのコスト増は、それほど批判にならなかった。9月に行われた総選挙で「エネルギーシフトは高すぎるからやめよう」「やはり原子力使用に戻ろう」と訴えた政治家がいたが、支持を得られなかった。しかし、10年後は分かりません。そのため、エネルギーコストはやはり政府にとって重要な課題です。蓄電技術の開発は研究コストがかかる。しかし、成功したら蓄電した電力もノウハウも輸出できます。一時的にはコストがかかるが、将来的にコストが低くなるはずです。

(ハフポスト 日本版「脱原発「エネルギーシフト実現は『戦い』」 ドイツのエネルギー政策 シュタンツェル駐日大使に聞く」より 2013/11/18 18:55)

なお、日本の環境省のワーキンググループによる報告書では、再生可能エネルギーの導入が低位・中位・高位だったと想定する3パターンにおいて、標準世帯(月300kWhを使用する家庭)における負担分は、電気料金とは別に、低位では2030年時点にピークとなり156円/月、中位では2030年ピークで291円/月、高位では2026年ピークで553円/月になるのではないかと想定している。

2014年2月の都知事選に立候補する予定の各候補には、脱原発を掲げている人も多い。しかし、脱原発とは言うことは簡単だが、代替エネルギー政策をどのようにするつもりなのか。各候補の政策に注目したい。

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