世界で最も働きたい国、働きたくない国は?

世界中の労働組合を束ねる組織「国際労働組合総連合」(ITUC)がこのほど公開した新たな報告書は、139カ国・地域における「労働者の権利」をめぐる現状に光を当てている。

世界中の労働組合を束ねる組織「国際労働組合総連合」(ITUC)がこのほど公開した新たな報告書は、139カ国・地域における「労働者の権利」をめぐる現状に光を当てている。

ITUCは「2014 Global Rights Index」(世界権利指標2014年版)で、労働者の権利に関する指標を、「労働組合に加入できるか」、「法的保護や、法に基づく適正な手続きを受けられるか」、「暴力的な状況がないか」など、97項目について評価した。その後、国・地域ごとに、「1」(最高)から「5」(最低)までの数値でランク付けした。

満点を獲得したのは世界中でデンマークだけだった。つまり、同国は、労働者の権利に関する97項目の指標をすべて順守しているということだ。

アメリカは、不名誉なことに4と評価された。これは、「組織的な権利侵害」や、「労働者の集団的な声を抑圧するための重大な取り組み」があることを示している。

また、少なくとも35カ国では、「民主的な権利、相応の賃金、より安全な労働条件、安定した職へを求める労働者たちを退けるために」、労働者が逮捕または監禁された事例があったという。さらに、少なくとも9カ国では、労働者を威嚇するための殺人や失踪が多発している。

シリアやスーダンなどに見られるスコアの「5+」は、国家内部の紛争が激しいことによって、労働者の法的保護が完全に妨害されていることを示している。

ITUCのシャラン・バロウ書記長は、今回の報告書に関する声明で、次のように述べている。

「デンマークやウルグアイのような国々が、国内の強力な労働法を通じて全体を主導したのに対し、意外かもしれないが、ギリシャやアメリカ、香港などは後塵を拝した」

「国の経済的な発展の度合いは、団体交渉や、適正な労働条件を求めるストライキ、または単にそもそも労組への加入を保障する基本的な権利をその国が尊重しているかどうかを示すには、不十分な指標であることが証明された」

以下は、139カ国・地域における「労働者の権利」のスコアを地図で表したインフォグラフィックだ。ITUCの説明ページによれば、1は「権利侵害が不定期に起こっている」諸国で、デンマークやウルグアイなど18カ国が含まれる。2は「権利侵害が繰り返し起こっている」ことを示し、日本やスイスなど26カ国が含まれている。3は「権利侵害が定期的に起こっている」で、チリやガーナなど33カ国が含まれる。4は「権利侵害がシステム的に行われている」で、アメリカやケニヤが含まれている。

[Kevin Short(English) 日本語版:湯本牧子/ガリレオ]

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