新生『聖闘士星矢』、テーマは“ヒロインの自立” さとうけいいち監督インタビュー
1985~90年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、アニメとなり映画となり、世界中で大ヒットした車田正美氏原作の『聖闘士星矢(セイントセイヤ)』。前作の劇場版から10年ぶりの新作『聖闘士星矢LEGEND of SANCTUARY』が21日より公開される。旧作の『聖闘士星矢』を観たことがない世代が増えてきたなか、数ある原作エピソードの中でも一番の人気を誇る聖域十二宮編を最新の技術によってリメイク。キャラクターのビジュアルも、声(キャスト)も一新された。
この新しい劇場版『聖闘士星矢』を手がけたのは、テレビアニメ『TIGER&BUNNY』のさとうけいいち監督。水嶋ヒロ主演映画『黒執事』では大谷健太郎監督の共同監督として、美術世界の構築などのビジュアルパートを担当し、その幅広い力量を買われた。原作者である車田氏も製作総指揮として参加している。
今作では、ヒロイン・城戸沙織や星矢たち青銅聖闘士たちの設定を中学生から高校生に変え、「等身大の少年・少女たちの物語にしたかった」とさとう監督。さらに、グローバルな視点に立ったアレンジを加えた。
さとう監督は「旧作アニメはフランスやイタリア、ブラジルなど世界80ヶ国以上で放映されるなど、海外からも絶大な支持を得ていますので、海外マーケットも意識しました」。そこで設定されたのは、意外なテーマ。「日本の観客はもちろん、国を越えて共感を呼ぶテーマは何かを考え、今回はヒロインの自立、成長という普遍的なテーマを軸に十二宮編のエピソードを再構成しました。自分が何者なのか、居場所がわからず孤独を感じているヒロインが、なすべき自覚の芽生えによって、だんだん輝きを増していく姿を描きたかった」。
ヒロイン・沙織の声を担当しているのは、ももいろクローバーZの佐々木彩夏。さとう監督は「今作の沙織は、男性が見ても女性が見ても『こういう感じの女の子いるよね』という程度の共感から始まるニュートラルなキャラクターを考えていたので、プロの声優さんより素で演じてもらえる方がよいかなと、思っていました。あーりんには『ありのままでいいから』と、実写に近いような感じで演じてもらいました」。
グローバル化を意識して、キャラクターの芝居も「リアル志向」だ。「日本人にしかわからないものはできるだけ省こうと思いました。この場面で妥当なのは握手か、ハグか、外国人スタッフにアドバイスをもらったり、アニメーターにパントマイムをしてもらったり、よりリアルなキャララクター表現を追求しました」。
『聖闘士星矢』はすでに知名度がある人気コンテンツのため、リメイクのハードルは高い。さとう監督も「引き受けた時はスタッフも皆、不安だった」とぶっちゃける。「マニアだけが喜ぶ作品はもともと狙っていないですし、『聖闘士星矢』を全く見たことがない人に今後、ファンになってもらうことをイメージした。本当に面白い作品を作りさえすれば、観客はフルCGといったことを意識せずとも素直に楽しんでくれるはず」と自信をのぞかせた。
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