永住権を持つ外国人が、日本人と同様に生活保護法の対象となるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は7月18日、「外国人は生活保護法の対象ではない」とする判断を示した。「生活保護法の対象となる」とした二審・福岡高裁判決を破棄し、原告側の訴えを退けた。4人の裁判官全員一致の意見だったという。朝日新聞デジタルなどが報じた。
訴えていたのは、大分市の中国籍の女性(82)。生活保護の申請に対し、「相当の資産がある」との理由で却下した市の処分は違法だとして、市に取り消しを求め提訴していた。その後、市の裁量で生活保護の受給は認められたが、裁判では外国人にも法的な受給権があることを認めるよう争ってきた。
2010年の一審・大分地裁は女性の訴えを退けたが、二審は外国人を同法の保護対象と認めた。これに対し、小法廷は「生活保護法が適用される『国民』に外国人は含まれない」と指摘。「外国人は行政による事実上の保護対象にとどまり、法に基づく受給権は持たない」と結論づけた。
(朝日新聞デジタル「永住外国人は生活保護法の対象外 最高裁、二審を破棄」より 2014/07/18 23:26)
生活保護法は、対象を「国民」に限定しているが、旧厚生省は1954年、国際道義上、人道上の観点から外国人についても行政裁量で国民の取り扱いに準じるよう通知。1990年以降は、通知に基づく保護対象を永住外国人や難民認定された外国人に限定し、生活保護を支給している。
原告代理人の瀬戸久夫弁護士は判決後の会見で、「行政が困っている外国人を『お恵み』で助けているのが現状。支給が行政の裁量で決まるのは、政策次第で支給が打ち切られる危険性をはらむ」と指摘したという。
厚生労働省の調査では、世帯主が外国人で生活保護を受給している家庭は計約4万6000世帯(約7万5000人)にのぼり、全体の3%近くを占めている。受給の現場にも批判的な意見や抗議の声が寄せられているという。
「税金をなぜ外国人の保護に使うのか」。大阪市の窓口には批判的な意見が寄せられると同時に、特別永住資格を持つ韓国人からは「日本人と差別しないでほしい」と通知に関する抗議も後を絶たない。
「双方に『国の通知に基づいて対応している』と説明していくしかない」。法律と通知のはざまで苦悩する市幹部は肩を落とす。
(MSN産経ニュース「批判と抗議…外国人受給世帯増加 自治体職員は対応に苦慮」より 2014/07/19 00:06)
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー