舛添要一・東京都知事が政府の検討会がまとめた保育施設の設置基準を批判した。東京都の待機児童数が増え続けているのを受け、国へ柔軟な対応を求めた。
■東京都の待機児童数、過去最高に
東京都は7月31日、2014年4月1日時点での都内の待機児童数が前年度より555人増え、8672人になったと発表した。2年連続で増加となり、4年ぶりに過去最高を更新した。女性の社会進出による保育ニーズの増大などで保育所入所申込者数も増加したため、待機児童数も増加したことが要因だという。
都によると、2014年度の都内の就学前児童は62万5347人。このうち、保育サービスを利用する児童の数は前年に比べて1万1577人増え23万4911人と、保育サービス利用率は過去最高の37.6%になった。
■整備しても追いつかない
市区町村で最も待機児童が多かったのは、世田谷区で1109人(前年比225人増)、次いで大田区で619人(同175人増)、板橋区で515人(同98人増)だった。
世田谷区の就学前児童人口は4万2445人と都内で最も多く、保育サービス利用者数も1万3092と最多だが、サービス利用率で見ると30.8%と最も低くなっている。2014年度は特に0歳時の待機児童数が前年比で96人増え、348人となっている。
2015度には子育て支援の新制度が始まるため、保育所の利用要件が緩和されることで更に利用希望者が増えることが予想される。
■「利用者は切羽詰まっている」
舛添要一知事は31日の定例記者会見で、対策の一つとして、事業者が都有地を利用して保育所などを整備する場合、地価に応じて貸料をこれまでよりも減額する方針を明らかにした。保育サービスを行う事業者が、高い家賃・地代を払ってまで参入しないという問題を解消したいとしている。
舛添知事は、さらに「通勤途中の駅前や預けやすい所に保育所を作るのは当たり前」としながらも、国の基準では駅前に保育施設を設置できないと指摘した。
現在の保育所の設置基準では一人あたりの園庭(屋外遊戯場)の広さが決められており、園庭に変わる公園などの設備を利用することも認められている。しかし、2015年度から制度化される保育所と幼稚園の機能を併せ持つ施設「認定こども園」については、新設基準には園庭の設置が必要との報告書がまとめられた。
政府は認定こども園を広げ、待機児童問題を解消したいとしているが、実際に保育施設を運営する側からは「大都市に所在する認可保育所においては非常に厳しい基準」との意見が出ていた。
東京の駅前には保育所の庭、保育園の庭が無い。無かったらできないかというけれど、大抵近くに公園があって、皆公園で遊んでいて、利用者は切羽詰まっている訳ですよ。夫婦で働いていて、どうするんだ子供って。どちらかが仕事を辞めないといけない。その時に、庭が無いから、これは保育所として認めないなんて言っていて、都民の方を向いてるんですか、という事です。だから、近くの公園に連れていってくれればいいじゃないですかと、こういうことを国の方も認めて、少しフレキシブルにやってもらいたいと思っています。
(東京都ホームページ「知事の部屋 / 記者会見(平成26年7月31日)」より)
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