アルゼンチンが再び債務不履行(デフォルト)に陥った。ホールドアウト債権者(2002年のデフォルトで債務再編に応じなかった米投資ファンドなど一部債権者)と債務返済をめぐる協議を続けていたが、30日深夜の国債の利払い期限までに合意に持ち込むことはできなかった。
これがクレジット・イベント(信用事由)と見なされるかどうかが今後の焦点。国際スワップデリバティブズ協会(ISDA)はウェブサイト上で、この件に関する最初の要請があったことを明らかにした。
また、債務再編後の新債券保有者らが償還前一括支払いを求めるかも注目される。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領はデフォルトを受け、「世界が終わると脅して、われわれが何にでも署名すると期待している人々は、私を当てにすべきではない」と発言。
アルゼンチン政府は、2033年償還の一部国債の利払い資金は預託されており、デフォルトには当たらないとの主張を崩していない。
一方、米連邦地方裁判所のトーマス・グリーサ判事は、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)に預託された5億3900万ドルの資金には裁判所が命じたホールドアウト債権者への返済資金は含まれていないため、違法との判断を示している。
同判事は、米東部時間8月1日午前11時(日本時間2日午前零時)に、ニューヨークでデフォルト問題を扱う聴聞会を開く予定。
アルゼンチンのキシロフ経済財務相は31日、同国をデフォルトと見なすような動きに対抗する訴訟を提起する可能性があると警告。
2002年のデフォルト後に2度の債務再編を受け入れた債権者らが、再編後の新債券の元利一括払いをすぐに求めるかに注目が集まっている。
アクセラレーションと呼ばれる償還前一括支払いの手続きで、2005年と2010年の債務再編で発行された16種類の債券の保有者の25%がBNYメロンにデフォルトに該当するかどうかの正式判断を求めれば、手続きが進むことになる。
キシロフ経済財務相は「そこでデフォルトと認定されるとしても、アルゼンチンはデフォルトに該当しないと確信しており、判事に意見を仰ぐことになる」と述べた。
一方、ISDAの決定委員会に対しては、スイス金融大手UBS
ISDAの決定委員会のコンファレンスコールは米東部夏時間1日午前11時(1500GMT、日本時間2日午前零時)実施される。ISDAの広報担当者によると、信用事由と認定するかどうかの採決の日時は決まっていない。
クレディ・スイスはこれより先に、CDSの決済が起こる可能性は高いとの見方を示した。
一方、ジュリアス・ベア銀の債券アナリスト、エミリアノ・サルバレ氏は、デフォルトの背景は訴訟であり、支払いが滞ったことが理由ではないと指摘した。
アルゼンチンのカピタニチ内閣官房長官は、同国は債務不履行に陥っていないとしたうえで、債務再編に応じた債権者は、利払いを禁じた米裁判所に対し、資金を要求すべきとの考えを示した。
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