アメリカは、経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国の中で、「低賃金の仕事」の割合が最も多いという調査結果が発表された。
これは、モルガン・スタンレーのエコノミストであるエレン・ゼントナー氏とポーラ・キャンベル氏が、加盟各国の雇用ならびに労働傾向を評価した「OECD雇用アウトルック」2014年版をもとに分析を行ない、9月22日に公表したものだ。
OECDは「低賃金の仕事」を、その国における所得中央値(メジアン)の3分の2に満たない所得しか得られない仕事と定義している。OECD加盟国では平均すると、全ての仕事のうち約16%が低賃金の仕事だが、アメリカではその割合は25%を超えている。
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モルガン・スタンレーが公表したランキング
このランキングは、アメリカが抱える所得格差問題を反映している。アメリカは、世帯所得の中央値は世界最高グループに入るものの(2013年末のギャラップ社発表によると、世界では世帯所得の中央値は約1万ドルだが、アメリカの中央値は約4万4000ドル)、「中央値をはるかに上回る所得の世帯」と、「はるかに下回る所得」の世帯との間には大きな隔たりがある。
モルガン・スタンレーのエコノミストらによれば、所得格差は経済成長の足かせとなっている。低所得世帯の消費活動が不十分なため、経済が充分に刺激されないのだ。世帯消費が増えるためには、賃金が上がる必要がある。
OECDはすべての加盟国に対して、「賢明な」最低賃金の設定、累進課税の拡大、所得格差を是正するための福利厚生の充実を呼びかけている。
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[Kevin Short(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]