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2014年10月16日 20時32分 JST

日銀、今年度成長率を0%台後半に下方修正へ

Reuters

[東京 16日 ロイター] - 日銀は今月31日に開く金融政策決定会合で、2014年度の実質成長率見通しを従来の1.0%から0%台後半に引き下げる方向だ。物価は16年度までの見通しをほぼ据え置き、15年度までに物価が目標の2%に達するとのシナリオを堅持するとみられる。

現行の量的・質的金融緩和(QQE)も継続する見通し。ただ、世界的な株安や円高に振れる為替など足元の大幅な市場変動が、国内の企業や家計の心理に与える影響も注視する。

日銀は3カ月ごとに向こう3年間の実質成長率と物価の見通しを示しており、想定しているシナリオとリスクを詳述した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を4月と10月の月末に公表している。

消費税率引き上げ直後の2014年4─6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率7.1%減と想定以上に落ち込み、輸出の回復がずれ込んでいる。このため14年度の実質成長率は、従来見通し1.0%の達成が相当困難になっている状況だ。

民間エコノミストの一部ではマイナス成長との見方も出てきているが、日銀では0.5%程度としている潜在成長率を上回る成長は確保できるとみている。

日銀が物価の目安とする消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)は、4月に消費税の影響を除くベースで前年比1.5%まで上昇したものの、その後は上昇幅が縮小。原油価格急落で8月実績は前年比1.1%までプラス幅が縮小した。決定会合が開かれる朝に公表される9月の指数は1%割れの可能性も出てきており、足元は下振れ感が強い。

日本経済の潜在的な供給力に対する需要不足を示し、中期的な物価の方向を決める需給ギャップは、1─3月期に0.4%の需要超過となったが、4-6月期は0.1%の供給超過(いずれも日銀試算)に転落。自動車の在庫調整などで7-9月期も大幅な改善は見込めない見通しで、来年以降の物価に下押し圧力となりうる。

しかし、企業の物価見通し(9月短観で1年後1.5%)は下がっておらず、9月以降に急速な円安が進んだことで、差し引き物価の見通しは変わらない見込みだ。

もっとも来年度以降の日銀の物価見通しは15年度が1.9%、16年度2.1%と、民間予測(中央値、15年度1.1%程度、16年度1.2%程度)を大幅に上回っており、多くの市場関係者や学術関係者からは、達成は難しいとの指摘が目立っている。

日銀は、円安による企業収益の改善、名目賃金の上昇、消費の回復、企業の設備投資の拡大が続き、物価の上昇メカニズムは着実に働いていると判断。従来見通しに沿った動きになる可能性が大きいとみているもようだ。

ただ、足元で起きている世界的な株安やドル高の調整による円高方向への為替の動向に対し、日銀は注視するスタンス。今のところ、米株高やドル高/円安の調整的な動きとみているが、さらに大きな価格変動が起きれば、国内企業の心理を冷え込ませる可能性もある。株価が一段と下落すれば、個人の心理も悪化して消費動向にも影響しかねない。

こうしたリスクシナリオが顕在化しない限り、日銀は今月末時点で物価見通し、政策ともほぼ据え置く公算が大きい。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)