ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、ハッカー集団の脅迫に屈して、北朝鮮の第一書記の暗殺を題材にしたコメディー映画『ザ・インタビュー』の公開を中止した。
だが、そうやすやすと要求に屈しない映画館チェーンが、少なくともひとつは存在していた。テキサス州を中心に全米で展開する映画館チェーン「アラモ・ドラフトハウス・シネマ」は、ダラス・フォートワース地区の映画館において、『ザ・インタビュー』のかわりに、2004年に公開された映画『チーム★アメリカ/ワールドポリス』を上映する計画だという。
『チーム★アメリカ/ワールドポリス』は、コメディアニメ『サウスパーク』を制作するトレイ・パーカー氏とマット・ストーン氏が手がけたミュージカル映画。内容は、国際警察「チーム・アメリカ」の過激な活躍を描くもので、ブラックなギャグやパロディが満載の問題作でR-18指定されている(冒頭のに作品の一部シーンを掲載)。
登場人物はすべてキュートな操り人形で、当時の北朝鮮の独裁者だった金正日氏の人形版も、口汚い悪党の親分として登場している(文末に金正日氏登場シーンの動画を掲載)。
『チーム★アメリカ/ワールドポリス』に対しては、当時の北朝鮮は公式な反応を示さなかった。一方で『ザ・インタビュー』に登場するのは、2011年に金正日氏が死去したあと、権力の座についた。息子の金正恩氏と見られる人物だ。
ソニー・ピクチャーズがプロモーションを始めた今年のなかば以降、金正恩政権は『ザ・インタビュー』は「露骨なテロ行為で絶対に許せない」と猛反発してきた。アメリカ政府当局は、ソニー・ピクチャーズに対するハッカー攻撃について、北朝鮮が関与したと断定している。
テキサス州に本社を置くアラモ・ドラフトハウス・シネマの制作マネージャーで編成担当者のジェームズ・ウォレス氏は、今回『チーム★アメリカ/ワールドポリス』を上映することを決めたことについて、ハリウッド・リポーター誌に対して次のように語っている。「私たちはただ、今回のとても残念な状況で、できるだけのことをしようとしているだけです」。
また、同社のサイトでは、今回の上映について次のように紹介している。
「すべての劇中歌と、おすすめの名台詞に字幕をつける予定なので、観客の皆様も、『アメリカサイコー!』と声のかぎりに叫ぶチャンスがたっぷりとあります。そしてもちろん、アメリカ国旗、赤白青の吹き流し、風船なども、みなさんのために用意します。これこそが、今年本物のアメリカン・ヒーローたちを祝うやり方ですが、すっかり諦めてもしテロリストたちに負けを認めるというのであれば...それはあなたが決めることです」
この記事は最初にハフポストUS版に掲載されました。
[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]
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