オリバー・サックス氏が死去 「レナードの朝」の著者

「レナードの朝」などのベストセラーで知られる著名な神経科医、オリバー・サックス氏が82歳の生涯を閉じた。半年前に末期がんを公表していた。

著名な神経科医で作家のオリバー・サックス氏が、8月30日にがんで82歳の生涯を閉じた。サックス氏のアシスタントがニューヨーク・タイムズに語った。

2015年の2月にニューヨーク・タイムズ紙で、サックス氏は眼にできた早期のメラノーマが肝臓に転移し、末期がんの後期段階にあることを明らかにしていた。記事でサックス氏はこのように書いている。

「残された月日をどのように生きるかは自分次第です。恐怖心がないとは言いません。しかし、私が感じている一番大きな気持ちは感謝です。私は愛し、愛されてきました。多くのものを与えていただき、お礼に何かを返してきたと思います。本を読み、旅をし、考え、そして本を書いてきました。世界、特に作家や読者の方たちと深く関わってきました」

作家としてのサックス氏は、「レナードの朝」「音楽嗜好症(ミュージコフィリア)」、そして「妻を帽子とまちがえた男」といった多くのベストセラーを生んだ。

サックス氏は1933年にロンドンで生まれた。母が外科医で、父が一般開業医という医者の家庭で育った。

1965年にニューヨークに移り、ブロンクスのベス・アブラハム病院で診察専門の神経科医になった。そこで彼は、後に「レナードの朝」の題材になった、「彫刻のように固まって動かない奇妙な」患者集団の治療にあたった。

サックス氏は「『レナードの朝』は、私にとって最も強烈な患者との関わりから生まれました。彼らのうち何人かは、何十年もの間まるで固まっているかのように動かず、一種のトランス状態に置かれていました」と語っている。

「レナードの朝」はロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズ主演で映画化され、アカデミー賞3部門にノミネートされた。

4月に出された最新作「On The Move」でサックス氏は、幼少時代の思い出や、アメリカへの移住、自分の性、功績、そして挑戦について書いている。

「この本の中で、彼は他人にしてきたように、自分自身を観察しています。思いやり深く、まばたきもしないほどしっかり、知的に、素直に、そして正直に」と、イギリスの哲学者、コリン・マッギン氏はウォール・ストリート・ジャーナルで紹介している。「彼のような人は、他にはいません」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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