【安保法案】SEALDs・奥田愛基さん「夏休みだけの活動じゃない」(発言詳報)

「まだまだ台湾か香港の学生のようにできているかわからないですけど、革命を起こそうという気はまったくありません」とも述べた。
Taichiro Yoshino

参院の安全保障関連法案の質疑が大詰めを迎える中、反対デモを国会前などで展開してきた学生団体「SEALDs」メンバーの奥田愛基さん、本間信和さん、芝田万奈さんが東京の日本外国特派員協会で会見し、外国人記者らの質問に答えた。

左から本間さん、奥田さん、芝田さん

奥田さんは「この数カ月で200カ所以上、累計で130万人以上がデモに参加している」と紹介し「若者カルチャーという新しい動きが少しずつできている」と評価した。「スマホやパソコンの普及のおかげで、こういうデザインが誰にでもできるようになった」と背景を説明。コンビニで誰でも同じ印刷物をプリントできる「ネットプリント」の普及で、全国各地で同じデザインのプラカードを使っていること。YouTubeでの安保法案への解説動画など、ソーシャルメディアを見て、各地で若者が立ち上がっていると解説した。

与党は今週中の法案採決を目指しているが、奥田さんは「デモは珍しいものでも何でもなくなった。僕も公聴会に呼ばれて話した。この間、声を上げていることが、単純に政治と分離されたところではなくて、政治に影響を与えている」として、「僕らが関知しないところで動いていることが重要。それは個人が主体的に動いているということを意味するからです。この法案がどうなろうが、主体的に動き始めた人はもう止まらないと思います」と意義を強調した。

「まだまだ台湾か香港の学生のようにできているかわからないですけど、日常の中でできることを出来る範囲でやっているという感覚がすごくあるので、革命を起こそうという気はまったくありません。普通に大学に行って、当たり前のことを当たり前のようにやる、ただそれだけ」とも述べた。

その後、メンバーは質問に答えた。概要は以下の通り。

Q 法案成立後、今後の活動はどうなるのか。

奥田:大学生の夏休みだけの活動ではないということを強調したいです。来ている方は20代がいれば30代、40代、50代、70代もいます。日本各地で世代、地域を越えて人々が声を上げています。このつながりが僕はそのまま選挙にも影響を与えると思っています。つまり我々は世代を超えて、ある程度の支持政党、政治思想を超えて、ある一点の目標を掲げて共闘することは可能なのです。そして毎週ほぼすべてとはいいませんが、主要野党政党は来て頂いているので、選挙に協力をして頂ければ、我々としても次の選挙は応援しやすくなるのではないかと思います。現在では賛成議員を落選させようというのが合言葉のように使われています。法案が通るまでの運動とは違う運動になりつつあるのではないかと思います。

Q 安保法案は合憲という解釈もある。議会制民主主義の中でどれだけの議席を取るかが問題だ。どうやって政権交代に持っていこうという戦略があるのか。

奥田:9割以上の憲法学者が違憲だと言っている。元最高裁の判事も言っている。政府は、基本的な論理は変わっていないから合憲だと言っている。ですが、基本的な論理が変わっていなければ、同じ問いを投げかければ同じ答えが返ってくるはず。回答が変わっているわけですから、論理が変わっているとみるのが正しい日本語だと思うわけです。また、世論調査を見れば分かるとおり、この法案に日本国民の多数が納得しているとは思えません。前回の選挙の時に、菅官房長官が言っているとおり、集団的自衛権は争点になっていません。議会制民主主義を支えているのは憲法なので、憲法を大事にして頂きたい。

自民党の総得票数は2割弱しかないわけです。ぜひ、僕も議会制民主主義は大事だと思うので、選挙に行って頂きたいと思うわけです。この法案はそれでも、議会制民主主義の中で通ってしまうでしょう。しかし、議会の中で多数派だから何でもしていいのかは、よく考えて頂きたい。政府関係者は口をそろえて「国民は理解していないかもしれないが、通さなければいけないものは通す」と言っている。「本当にそれでいいんでしょうか。次の選挙にも影響を与えますよ」と、今日も声を上げます。

Q 新たに政党を立ち上げる気はあるのか?

奥田:スペインのポデモス(注:2011年のスペインでの大規模デモを契機に2014年に発足した政党)みたいな政党を見て、ある意味うらやましいと思うこともあるわけです。けど、僕は政党を作る気はまったくありません。まだその段階に来ていないことと、日本ではまた違った形で今の動きが政治に影響を与えるのではないかと思うからです。一つのチョイスとしてはあると思うのですが、2011年以降、政党が乱立するようにできている中で、新しい政党ができたからといって現状が変わるとは思っていないので、それよりも社会の中でできることがあると思っています。まずは政治に対して主体的な人がもっともっと増えるべきだと思っています。

Q 18歳に選挙権が与えられることで、日本社会にどのような影響があるか。

本間:僕は最初にデモに参加したときに、大学の友達から、デモに行くって怖いという印象をずっと聞いてたんですけど、ここ3カ月ぐらいでも大学の友達のリアクションも変わってきているし、安保法制に限っていればデモが世論を動かしているという印象も僕の友達は持っています。政治運動にもっと主体的に参加していくこともありかなと、政治に対するイメージが変わってきているのかなと思っています。デモには制服姿の高校生も見られます。高校生が日本の政治に興味を持っていないという言説はそこまで信憑性がない。言いづらいけど興味は持っているという状況があるのではないかと思います。高等教育の段階で自分の頭で考えたり、上から知識を注入されるだけでなく、自分がどう考えるか討議したり議論したりするのを取り入れていくことが今後重要ではないかなと思っています。

Q ネット上では右翼などから攻撃を受けているようだ。運動の重要性が強まるにつれ、こうした攻撃がデモから学生を遠ざけることはないか?

奥田:ネット上では「在日朝鮮人がやってる」といったものや、かなり個人情報的なこと、髪形が、顔がと攻撃してくる人がかなりいます。そういうカルチャーにおびえてというか、発言すると叩かれたりすることで、何か不利益があるんじゃないかと、なかなか日本では政治参加や発言がしにくかったと思うんです。そういうところで負けていたところもたくさんある。そういうものに負けないカルチャーを作らなければならない。

Q 日本の大学生は政治や社会問題について討論することを好まない。何が変えたのか。安保法制か、過去3年の安倍政権か。

奥田:考えていなかったわけではない。言ってもいいという雰囲気ができてきたということと、憲法とか民主主義という根幹的なところが問題になっている。逆に政治家も学者も我々一般市民も、同じ土俵で議論ができるということではないか。ただ、実際の大学の雰囲気はどうかというと、僕もこういう活動をしている学生とはわからないと思います。普通に遊んで、友達と話して、その中で少しだけ政治のことを話せるということだと思います。

Q 日本の学生は世界一おとなしい、従順だ、非政治的だという評価が長いことありましたが、アラブの春やニューヨークの「ウォール街を占拠せよ」、あるいは香港、台湾など、同世代の動きにインスパイアされたことはありますか?

奥田:もちろん多分にあると思います。「Tell me what democracy looks like」は「ウォール街を占拠せよ」や世界中で使われているものをYouTubeで見ていたし、アラブの春やトルコのゲジ公園を守る運動など、ほとんどネット上で、海外の友達が流していたものを見ていました。彼らが考えていること、思っていることは、デモクラシーがイシューとしてあったと思う。留学生との交流の中で、アジアの中のデモクラシーがどうあるべきかということも話し合ったりした。

Q この法案が通ったら、若い皆さんに将来どういう影響があるか。大学の中でも留学生、中国や韓国の留学生がいると思いますが、彼らはこの法案をどう見ているか。

本間:1点目の質問ですが、自衛隊でなく自衛官になったという部分。自衛官が戦地に派兵されたときにリスクが高まるということは言えるのではないか。また安保法案だけでなく、憲法解釈によって憲法が変えられる前例が作られることで、憲法が軽んじられる風潮がつくられることが大きな問題だと思っています。具体的な状況を想定することは難しいですが、憲法がないがしろにされることが常態化するのは、どのような国家にとっても危険なのではないかと思います。

奥田:中国が脅威だと国会でもかなり言っていて、中国の留学生が「このまま戦争になってしまうのか」と強い危機感を持って話しかけてくれる人もいました。また日本国内のヘイトスピーチが起きている中で、より他国の脅威をあおることが差別的なものにつながらないのかという生活レベルの危機感を訴える人もいました。

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