[ワシントン/パリ 23日 ロイター] - 米国務省は23日、パリや西アフリカのマリでの武装集団による攻撃を受けて、「テロリストによる脅威が高まっている」として国民に対し海外への渡航に注意喚起を促した。
国務省はウェブサイトで「イスラム国、アルカイダ、ボコ・ハラム、その他のテロリストグループが引き続き複数の地域でテロ攻撃を企てていることを示す情報がある」と警告した。
今回の注意喚起では、過激派組織「イスラム国」による犯行で130人が犠牲となったパリ同時多発攻撃については直接触れていなかったが、過去1年間でフランス、ナイジェリア、デンマーク、トルコやマリにおいて武装集団による攻撃があったとしている。
「(イスラム国)メンバーがシリアやイラクから戻っており、テロ攻撃が続く可能性があると考えている」と指摘。「さらに、どの組織にも属していない人物が、主要なテロ組織に触発された攻撃を計画している恐れも依然として残っている」と警告している。
国務省高官は、全世界を対象とした渡航注意勧告は以前にも行ったことがあり、今回の注意喚起は過去の警告を実質的に更新したものと説明した。
一方、フランスとベルギーの当局は13日に発生したパリ同時攻撃以降、大規模な捜索を実施。特に実行犯とされるサラ・アブデスラム容疑者(26)については、事件後に潜伏しているとみられるブリュッセルで行方を追っている。捜査関係者によると、同時多発攻撃の実行犯とされるアブデスラム容疑者は事件後、レンタカーが乗り捨てられていたパリ北部のほか、市南部のシャティヨンにいたことが携帯電話の位置情報から判明した。
また、フランスの捜査当局は23日、シャティヨンに近い南部モンルージュで、ごみ箱に自爆ベルトとみられる装置が捨てられているのを発見した。捜査関係者は、このベルトがアブデスラム容疑者が所持していたものかはまだ判断できないとしている。同容疑者の兄はパリでの自爆攻撃で死亡している。
1つの可能性として、アブデスラム容疑者が18区で自爆攻撃を遂行しようとしたが、何かの理由で計画遂行ができなかったということが考えられる。「もしかしたら、自爆ベルトに技術的問題があったのかもしれない」と警察関係者は語っている。
ベルギーでは、パリで起きたような同時攻撃の可能性を警戒して、警戒水準を4段階の最高を一週間続ける方針だ。首都圏では地下鉄は運行停止、学校が休校になるなど多くの機能が停止しているが、25日には地下鉄と学校は再開される可能性がある。
「われわれはまだ昨日同様の脅威に直面している」とミシェル首相は語った。ショッピング街や公共交通機関が攻撃の対象になる可能性があるという。
ベルギーの警察当局は22日夜、パリ同時攻撃関連でブリュッセルで捜索を行い、16人を拘束したが、国際手配中のサラ・アブデスラム容疑者は含まれていない。検察によると、捜索で武器や爆発物は見つからなかったという。欧州連合(EU)関係者によると、23日のユーロ圏財務相会合は開催されるが、その他のEU関連会合は中止された。
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