[モスクワ 28日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は28日、トルコに経済制裁を科す大統領令に署名した。経済制裁はロシアの国家安全保障が理由とされ、24日に起きたトルコ軍によるロシア軍機撃墜を受けた措置とみられる。
大統領令は即時実施。制裁の内容には、ロシアからトルコに飛ぶチャーター便の運航禁止、旅行会社によるトルコツアーの販売禁止、トルコからの輸入禁止、トルコの企業や国民による経済活動の禁止・制限が含まれる。
インタファクス通信によると、ロシア政府は制裁対象となる物品、企業、業務のリストを30日にもまとめる。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は大統領令が発表される数時間前、「かつてない事態が起きている。ロシアに対する挑戦は前例がない。当然ながら、(ロシア側の)対応はこうした脅威を踏まえたものとなる」と述べた。
トルコ政府高官はロイターに対し、制裁は両国間の関係を悪化させるだけだと語った。
ただ、プーチン大統領の側近らによると、大統領はトルコのエルドアン大統領がロシア軍機撃墜を謝罪していないことに怒りを募らせている。この事件では、攻撃された軍用機から脱出したロシア軍パイロットと救出に向かったロシア軍兵士の2名が殺害された。
一方で、エルドアン大統領は撃墜は領空を守るためだったとし、謝罪しない方針をすでに示している。
[モスクワ 27日 ロイター] - ロシアのウシャコフ大統領補佐官は27日、トルコのエルドアン大統領がロシア軍機撃墜事件に関して謝罪の意向を示していないため、プーチン大統領は接触を拒否していると明らかにした。
エルドアン氏との協議をなぜ拒否しているのかとの記者団の質問に対し、補佐官は「撃墜事件をめぐり、トルコが謝罪に後ろ向きだからだ」と答えた。
またトルコ側から30日にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の場で、首脳会談の申し入れを受けたとし、プーチン大統領にこれから報告するとした。
プーチン大統領はCOP21で、イスラエルのネタニヤフ首相、メルケル独首相と会談する予定という。