難民たちが働くウィーンのホテルが見せる、本当のおもてなし

ヨーロッパ各国の政治家たちが、波のように押し寄せる移民たちにどのように門戸を開くか討論する中、オーストリアのウィーンにあるホテルが、1つの例を見せている。

ヨーロッパ各国の政治家たちが、波のように押し寄せる移民たちにどのように門戸を開くのかを討論する中、オーストリアのウィーンにあるホテルが、教訓となる1つの例を示している。

「マグダス・ホテル」では、不慣れな街に到着した旅行者が落ち着いて過ごせるように、難民がホストとして仕える。

このデザイナーズホテルでは、8割を超える従業員が難民で構成されていると、ナショナル・ポストが報じている。モロッコ、ナイジェリア、コンゴといった国々から来た従業員が、チェックインデスクでゲストに随伴し、カフェで食事を提供し、部屋の片付けをする。

マグダス・ホテルがオープンしたのは2015年2月。ヨーロッパの移民・難民の危機が大陸を揺るがす大問題となる、少し前のことだ。今年1年間だけで数十万という人々が、シリアやリビアといった国々から逃れてヨーロッパにやって来た。BBCによれば、今年ヨーロッパでは98万人が難民申請をしたという。

一方で、上のビデオでロイターのインタビューに応える従業員たちは新たにウィーンにやって来た人たちではない。彼らの多くは、政府が彼らの亡命申請を処理するのを待ちながらオーストリアに何年間もいたという。亡命を求める人々は、申請が承認されるまでは合法的に働くことが許されていない。

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magdas Hotelさん(@magdas_hotel)が投稿した写真 -

マグダス・ホテルの従業員

移民と難民たちはバルカン半島から北に向けて旅しているので、オーストリアはこの危機の中心だ。彼らの多くはドイツや、ヨーロッパ北部の国々に移住することを望んでいる。11月に、オーストリアは、入国して来る人々の流れをコントロールする手段として、出入りの多いスロベニアとの国境に沿ってフェンスを建設する計画を発表した。

「心を広く開こう」。それが、ウェブサイトを開くと一番最初に現れる、このホテルのモットーだ。ホテルのゼネラルマネージャー、セバスチャアン・デ・ボスさんはNPRの取材に対し、「移民たちがオーストリアにやって来ているということを見せること、そして彼らに職業に就く資格を与えることが大切です」と語った。

マグダス・ホテルの外観。2015年12月17日。マグダスはウィーンにある現代風のホテルで、そこでは難民たちが泊まる場所を「探す」のではなく「提供」している。(AP Photo/Ronald Zak)

ホテルで働くことは、従業員の多くにとって新しい経験であり、彼らはまず顧客サービスの基本を学ぶ必要がある。動画では、マネージャーが10代の従業員に、ゲストとのアイコンタクトの重要性を教えているところを紹介している。

「ただ仕事をこなすのではありません」。マグダスの食事と飲料サービスを運営する女性が上のビデオの中で言う。「時にはゲストの相談相手になることもあります」。

スタッフはドイツ語と英語でレッスンを受ける。難民たちは世界中の全く違う地域から来ているので、採用面接の中で、女性と一緒に働けるか、アルコールを扱えるか、といった文化的に機微な事柄に関する質問を受ける。

トリップアドバイザーの情報によると、部屋は一泊約93ドル(約1.1万円)で利用できる。ホテルについてのレビューや旅行レビューサイトの大部分はマグダスに対し好意的で、ウィーンのホテル群の真ん中あたりの順位に心地よく落ち着いている。

マグダスのロビーにあるバーでドリンクを用意する、アルジェリア出身のタイェブさん。2015年4月16日。

国際的カトリック慈善団体のカリタスが所有するこのホテルは、もともとは老人ホームだったという。

オーストリア居住の許可を求めている若者たちに、ホテルは避難所も提供している。ナショナルポストの9月の記事では、18歳以下の25人の未成年が、政府が彼らの難民に関する書類をチェックする間、この施設に住んでいた。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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