ウォルト・ディズニー社は3月23日、アメリカ南部ジョージア州で可決された法案が同性愛者に差別的だとして、この法律が制定されれば同州から事業を引き上げる考えを示した。ハフポストUS版などが報じた。
この法案は宗教関係者が社会福祉事業や教育、慈善事業などのサービスを行う際に、宗教上の理由から提供を拒むことを認めるという内容。
同性カップルの結婚式の執行を拒んでも、法的に守られることになる。アップルやコカ・コーラなどがこの法案に反対しており、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は、法案が成立すれば同州でスーパーボウルは開催できなくなる可能性があるとの考えを示していた。議会の通過を受け、道州のネイサン・ディール州知事は、5月3日までに法案に署名するか拒否権を発動するかを決める。
ディズニーと傘下のマーベル・スタジオは同州アトランタの郊外に巨大なスタジオを構えており、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アントマン』などの映画を製作してきた。ディズニーの広報担当社はハフポストUS版の取材に対し、ディズニーもマーベルも「開放的な企業だ」とした上で、「法案が成立したら、私たちは他の場所で(映画を)撮影することを選ぶだろう」と述べた。
なお、ジョージア州は、映画やテレビなどのエンタテイメント企業に対し、税制上の優遇処置を実施。カリフォルニア州と比べて税控除プログラムが魅力的な内容となっており、2015年度にジョージア州で撮影された映画やテレビ番組は248もある。アメリカの人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」(HRC)は、映画業界がジョージア州にもたらす莫大な経済効果を減らそうと、法案が成立した場合に同州での映画制作を中止するよう業界に呼びかけていた。
20世紀フォックスや、ユニバーサル・ピクチャーズ、パラマウント・ピクチャーズ、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントなどの映画企業は、現在のところ法案への反対は表明していないという。