ミャンマーのティンチョー大統領は4月6日、政権の実質トップであるアウンサンスーチー氏を新設の「国家顧問」とする法案に署名した。スーチー氏は同法の公布を受けて正式に就任する見通しだ。時事ドットコムなどが報じた。
この法案は、上下両院でそれぞれ可決されていた。法案審議では、両院の4分の1を占める軍人議員らが「憲法違反」などと主張して異議を唱えたが、両院の過半数を押さえる与党・国民民主連盟(NLD)が押し切った。共同通信によると国家顧問は、民主主義の確立や、適切な市場経済の導入など、国家的な目標達成のために国政に「助言」を行うポストだという。
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ミャンマーでは憲法の条項で子供が外国籍の人が大統領に就任できないと規定していため、イギリス国籍の子供がいるスーチー氏は大統領になることができない。今回の国家顧問ポスト就任により、これまでも「大統領より上の存在になる」と公言していたスーチー氏が実質的な指導者として、国政全般を統率する法的根拠を得た格好だ。スーチー氏は外相、大統領府相も兼務している。
スーチー氏は5日に中国、6日にイタリアの外相らと会談を重ねた。国家顧問の肩書きを得て、事実上の「国家元首」としての立場を内外に周知させる構えだ。