そのアラブ首長国連邦で初となる、冬のオリンピック選手を目指す若者がいる。21歳のフィギュアスケーター、ザーラ・ラリ選手だ。
様々な国際大会で活躍している彼女は、2018年に韓国の平昌で開催される冬季オリンピックに出場することを目標にしている。2013年にアラブ首長国連邦が国際スケート連盟に加入したことで、ラリ選手が冬季オリンピック出場できる可能性ができたのだ。
実現すれば、国の歴史を変える選手になるだろう。
ラリ選手がスケートを始めたきっかけは、12歳のときにディズニー映画「アイス・プリンセス」を観たことだ。フィギュアスケートの芸術性と美しさに魅了されたのだが、実際に滑ってみると、思っていたよりもずっと難しいスポーツだとわかった、とラリ選手はハフポストUS版に語った。
「初めてリンクに上がった時は、転んでしまいました。だけど必要なのは、もう一度立ち上がって挑戦し続ける方法をみつけることだとわかっていました。だから転んだら立ち上がる、転んだら立ち上がる、を繰り返したのです」
ラリ選手はすっかりスケートに夢中になってしまった。放課後の趣味として始めたはずのスケートは、すぐに情熱へと変わった。ラリ選手のファンたちは、映画にちなんでラリを「アイス・プリンセス」と呼んでいる。努力家のラリ選手は、アブダビ大学に通いながら、1日に4〜7時間のトレーニングを続けた。
「転んだら立ち上がる、転んだら立ち上がる、を繰り返しました」
「毎日、リンクの上でもリンクの外でも、数時間トレーニングをしています。私には夢があります。達成できたら、飛び上がるほども嬉しいでしょう。だけど達成できなくても、努力不足だったからと後悔することはありません」
2015年5月19日、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツ・シティーで練習するザーラ・ラリ選手。
ラリ選手の両親は、初めはラリ選手がスケートをすることに反対したそうだ。怪我をするのではないか、学業にしわ寄せがくるのではないかと心配したそうだ。
「父は、私にスケートをやめさせたがった時期がありました。私が真剣になりすぎていると考えていたし、そろそろスケートをやめる年齢だとも思っていたからです。それは父なりの愛情と思いやりでした」
「国内大会への参加を認めてくれませんでしたが、チームメートを応援するために試合に連れて行っていってくれました。でも私がチームメートの活躍を見て喜びながらも、自分が参加できずに落ち込んでいるのを見て、父はついに私がスケートを続けることを認めてくれました。私がどれほど真剣に、スケートを愛しているかを理解してくれたのです」
父は今では大きな声で私を応援してくれる、とラリ選手は述べた。
2012年4月12日、北イタリアのカナツェーイで開催されたフィギュアスケートのヨーロッパ杯で演技中のザーラ・ラリ選手。
2018年のオリンピックに出場できれば、ラリ選手はヒジャブを着たスポーツ選手のひとりになる。最初にヒジャブをまとって競技に出たのは、2004年アテネ大会の陸上競技に出場した、バーレーンのルカヤ・アル・ ガサラ選手だと考えられている。
夢に向かって努力する姿勢を見てもらうことで、イスラム教徒かどうかに関係なく、すべての若い女性を勇気付けられたら、とラリ選手は願っている。
「全ての若い女性に、情熱をかけられるものをみつけてほしいんです。自分の健康や幸せを大切にしてほしい。スポーツを始め、小さな障害に負けず、高いところを目指して努力してほしい。人との違いではなくわかりあえる部分に目を向けてほしい。これが私の願いです」
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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