「立ち直る力」子供に教えるには? 覚えておきたい5つのポイント

子供に立ち直る力をつけさせ、人生の困難に備えさせるにはどうすればいいのか。

親はいつだって、人生の中で起こる様々な困難から、自分の子供を守りたいと思っている。

しかし、自分の子供が離婚、死、重い病気など、厳しい出来事にあったときはどうすればよいか。多くの親は、こう思うはずだ。

「困難から立ち直り、前に進む“回復力”を持って欲しい」。

子供に立ち直る力をつけさせ、人生の困難に備えさせるにはどうすればいいのか。学校に通う子供たちのカウンセリングを手がける慈善団体「Place2B」のフィオナ・ピエナー医師は、ハフポストUK版に「立ち直る力は、“対処技能”で成り立っています。子供は皆、そうした能力を持っています。ただ、自分で気付いていないだけです」と説明した。

「子供に、このような能力を持っていると気づきを与えることは有益です。自分が持っている様々な技能を使って、成長するようになります。それが立ち直る力を、確実なものにします」。

対処能力とは何か? 親はどのように、子供の対処能力を育てられるのか。ピエナー医師と、子供のメンタルヘルス・ケアの向上に取り組む「チャイルド・マインド・インスティチュート」のハロルド・コプルウィックツ医師が、5つのポイントを紹介してくれた。

1. サポートを求めることは、有益であると教える

人は不安だったり落ち込んでいたりすると、他の人にアドバイスを求めにくくなる。子供は早い段階で、そのことを知るべきだ。

ピエナー医師は「親自身も普段、いろいろな状況において、誰かにサポートを求めていると教えるべきです」と言う。

「たとえそれが、『友達が病気で落ち着かないので、電話で話してみる』『体調が悪いので、病院に予約をいれる』というような内容であったとしてもです。誰にサポートを求めれば良いか分かれば、子供はそれが立ち直る方法のひとつだと感じます。誰かにサポートを求めようとすることが大切であると、強調しなければなりません」。

ピエナー医師は、「ご近所さんや親戚、誰か気にかけてくれる人といった、子供の身の回りには、様々なサポーターが存在する事に気がつくよう教えるべきだ」と語った。

「もし子供が『学校で嫌な思いをした』と言うなら、『それを誰かに話した?』と聞き、誰もが誰かとかかわりあう必要があることを教えればよいのです」。

コプルウィックツ医師によると、“コミュニティー”によるサポートが、人生の困難に対処する子供の能力に効果的なことが、研究で明らかになったという。

「コミュニティーとは両親、兄弟姉妹、教師、友達、同じ体験をしているほかの人のことを指します。子供がコミュニティーと強い結びつきを持っている場合、ストレスを感じたときにも活用できるのです。特に同じ体験をしている人の存在が重要です。最も大切なのは、子供にコミュニティーとの関わり合いについて教え、そこから安心感やサポートを引き出させることです」。

2. 年齢に合った自由を子供に与える

子供に自分の過ちから学ばせ、独立心を育ててやることも大切だ。コプルウィックツ医師はこれを「不屈の精神の育成」と呼んでいる。

「不屈の精神とは、逆風に負けない心、楽観、長期目標を設定し達成するという意味です。不屈の精神の育成は、親や教師、世話人の考え方と態度から始まります。親はコミュニティーと協調性に価値を置く、“発達した”考えを持つべきです。成長できる(または、すべき)と思っている子供は、人生の困難に対して柔軟で、広い心を持っています」。

ピエール医師も、これに同意する。

「毎回のように助けることはやめてください。きちんと状況を把握したうえで、子供には、『自分自身で対処できる』と教えてあげてください。遊び場で何か新しい事があったら、そのままサポートしてあげてもいいですし、親は手を出さず、子供に新しい事を試させても良いでしょう。子供が自分で社会と関わる能力を育てられるようにしてあげてください」。

ピエナー医師は「こうした自由を与えることで、子供は試行錯誤します。大人になるにつれ、これが有益になるのです」と述べた。

しかし、自由を定義するのは難しい。様々な要素が絡んでくるからだ。

「ここでいう自由とは、『立ち直る力をつけたいなら、独りで歩いて学校に行きなさい』といった、単純なものではありません」とピエナー医師は説明した。「内容は、環境やコミュニティー、文化、年齢に左右されます。たとえば、公園のジャングルジムで、2歳の子が独りで遊ぶとします。でも、あなたは許しません。子供が5歳であれば、『そうね、そうしてみたら』と言うかもしれません」。

ピエナー医師は「子供は一度新しい事を試し始めると、”達成感”を得るようになる。それはストレスに直面したときに、立ち直る力として働く」と語った。

3. 感情表現のお手本になる

動揺、悲しみ、怒りといった感情が湧くことは、普通なのだと子供に教えることも覚えておきたい。

あなたが感情表現のお手本となり、落ち込んだときにどういった行動をとるか、子供に示してもよい。

ピエナー医師は「子供に『仕事で疲れたから、新聞でも読むよ』と言うことも、ストレスへの対処内容を見せることになります」と、具体例をあげた。「子供はそれを見て、どう対処すればよいかを学ぶのです」。

4. 他人に起きた、人生の困難の例について話し合う

子供は自分自身では困難を経験せず、学校の友達やほかの子がそうした経験をしいるのに気付くかもしれない。それが、子供に教える教材になることもある。ピエナー医師は、事細かく状況を教えないよう、アドバイスする。あなたが子供に伝えた内容から、子供は親が思っているよりもはるかに多くの状況を把握していると考えるべきだという。

「その都度その都度、状況を的確に把握してください。もし両親の離婚に悩んでいる友達がいたら、それがどれほどつらいことなのか、なにか助けてあげられる方法はないかを話しても良いでしょう。 子供は本来、優しい性格です。どうしたら助けてあげられるかを話し合ってください。優しさや他人を気遣うことは、立ち直る力の一部なのです」。

コプルウィックツ医師は、子供にとって助けとなるものは、他の人にとっても助けるとなる、と述べた。

「物事の正しいの見方は、簡単には身に付きません。しかし、子供にとって人生が困難になったときに、いちばん大切なものになるはずです」

5. ひと息つける時間を与える

子供には常に、何を選択するかを落ち着いて考える時間を与えるべきだ。

もちろん、家庭によってやりかたは違うだろう。ピエナー医師は、学校やクラブ活動で忙しい子供に対し、親は「何かしたいこことはある?」と聞くことが有益だと説いた。

「自転車に乗る時間が欲しいのかもしれないし、友達と遊ぶ時間、または親と一緒にいる時間を望んでいるかもしれません。できるだけ子供と共に過ごし、話を聞いてあげてください。そうすれば、子供は安らぐ時間があるのだと気づき、嫌な状況があっても、幅広い対処能力を持てるようになります。もうひとつの対処戦略と言ってもいいでしょう」。

コプルウィックツ医師も、何か悪い事が起きた場合に自分をうまくコントロールできるようになると、ピエナー医師に同意する。

「毎日の生活習慣というものは、例えば悪い事、人生の大参事の後で取り入れようとしても、なかなかできるものではありません。日々の暮らしかたや、家庭の外の多様な社会とのかかわりが、とても大切なのです。それが、離婚や死別の悲しみを、転換させるようになるはずです」。

この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

▼画像集が開きます▼