絵本「ラヴ・ユー・フォーエバー」の裏に隠された"作者の悲しいストーリー"とは

「この歌は、私の泣き声そのものでした」

アメリカで1200万部以上のロングセラーとなった絵本「ラブ・ユー・フォーエバー」は、親子の愛情の絆を静かに語りかける物語です。絵本の中で、お母さんは生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこして、歌を歌います。

アイ・ラブ・ユー いつまでも

アイ・ラブ・ユー どんなときも

わたしがいきているかぎり

あなたはずっとわたしのあかちゃん

赤ちゃんが2歳になっても、9歳になっても、10代の若者になっても、夜になるとお母さんはぐっすり眠る子供を抱っこしながら歌います。

「ラヴ・ユー・フォーエバー」が1986年に出版された時、アメリカ中の親たちが、子供が寝る時にこの絵本の美しい歌を読み聞かせていました。

しかし、この「ラヴ・ユー・フォーエバー」が定番の絵本となる前は、作者のロバート・マンチが妻が経験した2度の死産を乗り越えるため、自分自身に静かに言い聞かせたシンプルな4行の詩だったのです。

マンチは、この歌は大きな声で歌うのはあまりに痛々しいので、長い間妻にさえ話すことができなかったといいます。

「この歌は、私の泣き声そのものでした」と、マンチはハフポストUS版に話してくれました。

ロバート・マンチ

妻の2度目の死産の経験の後、医師たちはマンチ夫妻に想像もつかなかったような悲しい宣告をしました。もう子供を生むことができなくなったのです。児童養護施設で働き、福祉児童学科の修士の学位を取り、子供向けの絵本を書くことに人生を捧げてきたマンチと妻は、大きな衝撃を受けました。

「誰かが歩いてきて、いきなりみぞおちを殴ってきたらどんな気持ちになると思いますか? その時は本当にそんな気持ちでした」と、マンチはハフポストUS版に話しました。

マンチ夫妻は3人の子供を養子に迎えることにしましたが、マンチは死産した2人の子供たちを悼むため、この歌を歌っていました。マンチはこの歌を書きとめることもなく、大きな声で歌うこともなく、自分自身に子守唄のように静かに聞かせたのです。

そしてある日、マンチの頭に一つのストーリーが浮かびました。

「私の書く物語は段階的に生まれることが多いのですが、その時だけは突然思い浮かんだのです」

マンチはたびたび、自分のアイディアを本にする前に、観客の前で演じることがありました。ある日、マンチは劇場で芝居をしている時に、この歌を思いつきました。マンチはすぐにこの歌に合うストーリーを考え、「ラヴ・ユー・フォーエバー」が生まれたのです。

読み聞かせのイベントに参加したロバート・マンチと子供たち

「ラヴ・ユー・フォーエバー」は、完成までに数年かかった他のマンチの作品とは違い、すぐにまとまりました。マンチはこの絵本の中で描かれているように、息子が大人になっても夜になると部屋にそっと入り、同じ子守唄を歌うお母さんについて聴衆に語りかけました。

今では誰でも知っているこの歌を聞くのは、マンチの妻も含めて誰にとっても初めてのことでした。マンチは、聴衆が心を揺さぶられているのが目に見えて分かったと、その時の様子を語りました。「妻もそういうふうに感じたでしょう」

マンチがこのストーリーを絵本にしようと出版社に持ち込んだ時、子供向けのジャンルとしてはストーリーが暗すぎると断られてしまいました。

「出版社の人が初めてこのストーリーを読んだ時、毛が逆立つくらい怖い話だと言われて断られました」と、マンチは言いました。

読者の中には、この「ラヴ・ユー・フォーエバー」の中のお母さんは少し不自然だと考える人もいました。しかし多くの人は、このお母さんの無条件の愛に心を動かされたのです。オンラインのレビュアーの中には、大人になった今でもこの絵本を読むと、自分の親がこの歌を歌っているのを思い出して泣きそうになるとレビューに書いている人もいます。

マンチは、この絵本のストーリーに反響があるのは、親と子供の両方の心を動かすストーリーだからだと考えています。

「この絵本はあくまで理想で、こんなふうになったらいいな、という思いを形にしたのです」と、マンチはハフポストUS版に話してくれました。「私の書いた作品の中で、子供向けの絵本で終わらなかった唯一の作品です」

現在70歳になるマンチは、これまで50の絵本を書いています。そしてマンチの子供のアンドリュー、ジュリー、タイヤの3人は、そのうちの5つの絵本に登場しています。

マンチは2008年に脳卒中を起こした後、絵本作家の仕事を引退しました。今の自分は「ラヴ・ユー・フォーエバー」のストーリーの最後で、お母さんが老いて病気になった状況と同じだと話しています。

マンチは今でも「ラヴ・ユー・フォーエバー」に誇りを持っています。それはこの絵本が自分の作品の中で最も成功を収めたからだけではなく、彼自身を慰めたように、今後も多くの人の慰めになると考えているからです。

「この絵本を誰かが手にしたその時に、この物語は私の物語ではなく、手にした人の物語になるのです」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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