太っちゃうのは会社が原因だった?(画像)

生活を変える鍵は、オフィスにあり。

「健康になれるかどうかはオフィス次第で変わる」と考えたことはあるだろうか?

かつてニューヨーク市の保健担当で、マイケル・ブルームバーグ市長(当時)の下で、住む人の健康を考えた建物デザイン「アクティブ・デザイン・ガイドライン」作りに携わったカレン・リー氏が、従業員の健康を増進する建物について教えてくれた。

現在、環境デザインコンサルタントをしているリー氏が勧めるのは、体を動かしたくなるオフィスや住宅だ。

運動不足や不健康な食事は、健康に悪影響を与える。例えば、1日6時間座ったままの状態が10年から20年続くと、健康寿命が7年縮むという調査もある。しかし、デスクワークをしているとどうしても一日中座ったままになってしまう。それに、運動を習慣にするのは難しい。

「行動変化の鍵は、建物のデザインを変えることだ」とリー氏は考えている。

会社に自転車置き場を作ると、自転車通勤する社員が増えるかもしれない

■ 建物に工夫を

肥満や健康問題を改善するために、ニューヨーク市は、「アクティブ・デザイン・ガイドライン」を、多くの図書館や市の建物、警察、消防署に取り入れている。

ニューヨーク市のデザイン・建築部で建築主任を務めるマーガレット・カスティリョ氏は「エレベーターを使いたくなくなるような、立派で美しい階段を作ったり、公共の建物と広場をつないだりする工夫を、全ての公共施設に取り入れています。ガイドラインは、大きな影響を与えています」と話した。

歩いてみたくなるようなクイーンズ美術館の階段

「自然の光」も、健康改善に欠かせない。ニューヨークのチェルシーに建設を予定している医療保険施設では、屋外に階段を設置して、上り下りする際に周りの木々を目にすることができるようにする。ブルックリンの消防署には、日光と新鮮な空気を天井から取り入れられる、トレーニングエリアが作られる予定だ。また、市の建物の幾つかに屋上ガーデンを作って従業員活動を促進し、メンタルヘルス向上に役立てたいと考えている。

ニューヨーク市は、こういった工夫がどれくらい心拍数や運動力に影響を与えているのかを測るツールを開発中だという。

ブルックリンにできる消防署の完成予想図。屋上に植物を植えたり、自然光を取り組んだりする工夫を加えている

■ オフィスの中に工夫を

オフィスの中にも、体を動かす工夫を加えられる、とリー氏は説明した。従来の会議室では、座ったままでしか会議ができない。そこに立って作業するスタンディングデスクや、エクササイズ用の自転車を置くと、ペダルをこぎながら会議ができるようになる。また、社内に15分のウォーキングコースや45分のウォーキングコースを作って、青や赤の線で表示すると、歩くモチベーションが上がるかもしれない。

「一部の人のみがスタンディングデスクを使うのではなく、誰でも健康的な家具やオフィスが使えるようになるべきです」とリー氏は話した。

小規模の会社では、エクササイズ用の自転車を導入するのは難しいかもしれない。しかし、お金をかけずに運動を促す方法もある。例えば、エレベーターの横に、階段を使った場合に消費するカロリーを表示すると、階段利用者が増える可能性がある。

アラバマ州のハンツビル病院にあるサイン。消費カロリーを表示して階段を使うよう促している

オフィスの移転を考えているなら、候補地が屋外に出やすい場所かどうかを考慮に入れるといい、ともリー氏は述べた。近くにサイクリングロードがある所や、公園がある場所だと、ランチの時に屋外に出るようになるだろう。

そして忘れてはいけないのは、オフィスに置く食べ物だ。

飲み物は、ソフトドリンクなど高カロリーのものはなるべく避け、水が飲めるようにしよう。食べ物は、なるべくヘルシーなものを置くようにしたい。Googleのニューヨークオフィスでは、ナッツやフルーツ類を透明のガラス容器に入れて見えやすくし、スナック菓子やキャンディーは、不透明の容器に入れて見えにくくしている。

また、ヘルシーな食べ物の値段を安くすれば、買いやすくなるだろう。

ニューヨークのGoogleオフィス。健康にいい食べ物がたくさん置かれている

オフィス環境に影響を与える経営者は、従業員にとって健康的なスペースを提供できる、とリー氏は述べる。

「自転車置き場や、健康的なオフィス家具を設置すれば、従業員の健康にいい影響が現れるでしょう。一度作れば、その影響は長く続きます」

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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