アメリカ軍普天間飛行場の移設先となっている名護市辺野古沖の埋め立てを巡り、国が沖縄県の埋め立て承認取り消しを違法と訴えていた裁判は、高裁で沖縄県側が敗訴した。
翁長雄志知事は判決を不服として上告する意向で、辺野古移設を巡る国と県の対立は、最高裁に持ち越されることになった。
福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は9月16日、国の訴えを認め、沖縄県が埋め立て承認取り消しを撤回しないのは違法との判断を下した。朝日新聞デジタルなどが伝えた。
(判決は)「海兵隊の航空部隊を地上部隊から切り離して県外に移転することはできない」などとした国の主張をほぼ全面的に採用。「普天間飛行場の被害を除去するには新施設(辺野古の代替施設)を建設する以外にはない」などと指摘し、2013年12月に仲井真弘多(ひろかず)前知事が埋め立てを承認したことは「不合理とは言えない」とした。
一方、翁長知事が埋め立て承認を取り消したことについては「日米間の信頼関係の破壊」といったデメリットを挙げ、「移転は沖縄県の基地負担軽減に資するもので、民意に反するとは言えない」とし、取り消すことによる利益が不利益を大きく上回っていないなどとして「違法だ」と指摘。翁長知事が国の是正指示に従わない不作為について違法と認定した。
(辺野古訴訟、国が勝訴 知事の承認取り消し、高裁認めず - 沖縄:朝日新聞デジタルより 2016年9月17日00時06分)
■訴訟を巡るこれまでの経緯
沖縄県の翁長雄志知事は2015年10月、前知事が出した辺野古埋め立ての承認を取り消した。
国と沖縄県の訴訟合戦の末、2016年3月に和解が成立し、双方が訴えを取り下げたが、国が求めた承認取り消しの撤回に沖縄県が応じなかったため、国は2016年7月に改めて提訴していた。
■翁長知事は上告の意向
判決を受けて裁判所前では抗議集会が開かれ、主催者の発表で約1500人が参加した。市民団体代表の安次富浩さん(70)は「国や安倍政権は沖縄の声を一度も聞こうとしなかった。司法も同じ立場に立っている」と憤った。
翁長雄志知事は判決を受けて記者会見し「辺野古が唯一との国の主張を追認するかのような内容だ」と批判。最高裁に上告する意向を明らかにした。
菅義偉官房長官は16日午後の記者会見で「国の主張が認められたことは歓迎したい」と述べた。
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