ハリケーン「マシュー」の被害が拡大するハイチで、子供たちが人身売買の餌食に

「子供たちは性暴力や孤児になる危険にさらされています」

ハリケーン「マシュー」による洪水被害区域の子供たち。2006年10月5日、ポルトープランスのシテ・ソレイユにて。

ハリケーン「マシュー」が襲う前、ハイチの子供たちは人身売買の危険にさらされていた。今、ハリケーンによってその危険が増大している。

2016年10月上旬に大型ハリケーンがハイチで猛威を振るった。週末に発表された統計によると、少なくとも1000人の命が奪われ、ある地域では90%の建物が破壊されたという。また、国際NGOセーブ・ザ・チルドレンによると、すべてを失った家族の子供、そして親と離れ離れになった子供は、強制労働のために売られ、残虐な行為の餌食になる場合があるという。

セーブ・ザ・チルドレンによると、このハリケーンで2000人の子供たちが親と離ればなれになり、孤児として避難しているという。サッド、グランド・アンス、そして首都ポルトープランスではセーブ・ザ・チルドレンが支援する131の学校の半数が被害を受けた。最大で13万人の子供たちが学校に通えなくなっている。

ハリケーン「マシュー」通過後に避難所を歩く子供たち。2016年10月9日、ハイチのジェレミにて。

「子供たちは性暴力や孤児になる危険にさらされています。または、奴隷として別の家庭で働かされることもあります。親が食事を与えることができず、十分な生活ができないからです」と、セーブ・ザ・チルドレンのハイチ代表ケヴィン・ノヴォトニー氏は声明で語った。「こうしたことを防がなければなりません」

通常の状態では、子供を育てられない貧困家庭は、子供を別の家庭に送り、子供はそこで働くことになる。災害時には、人身売買業者が暗躍する。彼らは貧困家庭に近づき、子供の明るい未来を約束する。

しかし、実際には、そうした子供は労働のために売買されるか、または児童養護施設に入れられる。人身売買業者は国際的な養子縁組取引で利益を得ている。

2013年、マグニチュード7.0の地震がハイチを襲ってから3年後、アメリカ政府は15万〜50万人の子供たちが奴隷になったという統計を発表した。そうした子供たちは労働を強制されるだけでなく、暴力や性暴力、虐待の危険にさらされる。

ポルトープランスの家でメイドとして住み込みで働く15歳の女の子。2009年の写真。こうした子供は地元で「レスタヴェク」と呼ばれ、親が育てられなくなったため、別の家庭へ送られ、働かされている。

世界では長い間、自然災害時に子供たちが人身売買の犠牲となってきた。

2015年に2度の地震に見舞われたネパールでは、数百人の子供たちが人身売買の危険にさらされた。

ユニセフのレポートでは、地震から2か月後、少なくとも245人の子供たちが人身売買や、違法な養護施設から救助されている。

サントドミンゴのラ・プヤで洪水の被害に遭う子供たち。2016年10月4日。ハリケーン「マシュー」がハイチとドミニカ共和国の両国が統治するイスパニョーラ島を通過した後。

被害を受けている子供たちを支援し、安全を確保するために、セーブ・ザ・チルドレンとその他の支援団体は、ハイチで複数のプログラムを実施している。

セーブ・ザ・チルドレンは家族が一緒に暮らせるよう活動し、「子供にやさしい場所」を設置している。子供たちはそこで「普通の暮らしを取り戻す」ことができる。プログラムは数多くあるが、中でもユニセフは臨時の学習所を作り、子供たちを暴力や搾取、虐待から守るサービスを行っている。

「最善を望んでいますが、同時に最悪の場合も考えています」と、ユニセフのハイチ代表マーク・ヴィンセントは声明で語った。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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