2016年10月19日、北朝鮮のピョンヤンにある中央動物園でタバコをふかすチンパンジーのアザリア。19歳のメス、朝鮮語の名前は「ダルレ」 WONG MAYE-E/ASSOCIATED PRESS
北朝鮮の首都ピョンヤンの中央動物園で飼育されている19歳のメスのチンパンジー「アザレア」が、10月、インターネットで大きな話題となった。AP通信は彼女がタバコを吸う様子を捉えた写真を公開した。
写真には、アザレアが人間のようにタバコをふかす姿が写っている。AP通信によると、彼女はトレーナーが投げ入れるライターやマッチを使い、自分でタバコに火をつけることができるという。
霊長類にタバコの吸い方を教えることは可能だが、霊長類学者フランス・B.M.・ドゥヴァール氏は、一種の動物虐待にあたると指摘する。
ドゥヴァール氏はハフポストUS版の取材に対し、「もちろん、タバコには (霊長類にとっても) 人間と同じくらいの依存性がありますし、健康への害も同様です」と答えた。
アザレアはこの動物園にいる2頭のチンパンジーのうちの1頭だ。中央動物園は、彼女はタバコをふかしているだけで、実際に有害な煙を吸い込んでいるわけではないと主張したが、ドゥヴァール氏はそうは見ていない。
「動物園の主張は疑わしいと思います。自分は肺の中まで煙を吸い込んでいるわけじゃないからと人間のヘビースモーカーに言われったって、信じられないのと同じです」
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動物園側はアザレアは実際に喫煙しているわけではないと言い張っているが、専門家はその主張を認めない。
これまで北朝鮮で行われてきた人権侵害の数々の事例を考えれば、中央動物園が動物の残酷な扱いを非難されるのも驚きには値しない。この動物園が絶滅危惧種に指定された2種類の動物を戦わせて見世物にしたという報道もある。
動物愛護団体「PETA」のイングリッド・ニューカーク会長は、北朝鮮の動物の扱いは「残虐」だと述べたが、世界中にある他の動物園も同様にひどいものだという。
「人間が見て楽しむためにチンパンジーをタバコを与え、意図的に依存させるなんて残酷だ」と、ニューカーク氏はハフポストUS版に答えた。「チンパンジーのお茶会や象乗り体験、トラの赤ちゃんとの記念撮影などを呼び物にするのは不適切で搾取的な行為だと、動物園は徐々に気づき始めています。そもそもの問題は、なぜ私たちは野生動物を檻の中に閉じ込めているのか、ということです」
2016年8月23日、中央動物園のゲート前で入場を待つ北朝鮮の人々 DITA ALANGKARA /ASSOCIATED PRESS
ピョンヤンの国営中央動物園は1959年に設立されたが、改装工事が行われ、新しい展示室と展示動物を加えて7月にリニューアルオープンした。その敷地面積は約3.5平方kmにもわたる。
リニューアル後の動物園では従来の動物園の目玉であるライオン、ゾウ、キリンに加えて、チンパンジーのアザレアや、犬のパビリオンといった独特の展示も行う。犬のパビリオンでは、ジャーマンシェパード、プードル、そして1匹のチワワが展示されている。
AP通信によると、新しい動物園が平壌の最新レジャースポットとなっており、連日何千人もの来場者が詰めかけているという。
アザレアの写真を見てみよう。
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ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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