韓国・朴槿恵大統領の「影の実力者」は、次期冬季オリンピックの組織委員長もクビにした?

本人は「90%正しい」。
Protesters wearing cut-out of South Korean President Park Geun-hye (R) and Choi Soon-sil attend a protest denouncing President Park Geun-hye over a recent influence-peddling scandal in central Seoul, South Korea, October 27, 2016. REUTERS/Kim Hong-Ji
Protesters wearing cut-out of South Korean President Park Geun-hye (R) and Choi Soon-sil attend a protest denouncing President Park Geun-hye over a recent influence-peddling scandal in central Seoul, South Korea, October 27, 2016. REUTERS/Kim Hong-Ji
Kim Hong-Ji / Reuters

韓国大統領を操る「影の実力者」と呼ばれる女性は、次期冬季オリンピックの組織委員長の人事まで影響力を及ぼしていたという証言が出た。

大韓航空などを傘下におさめる趙亮鎬(チョ・ヤンホ)韓進グループ会長が、2018年の平昌冬季オリンピック大会組織委員長を突然辞任した背景に、朴槿恵大統領の「影の実力者」と呼ばれた知人女性、崔順実(チェ・スンシル)容疑者との確執があったと報じられた。この報道を趙会長は「90%正しい」と話した。NEWS1が3日、報道した。

11月2日、京郷新聞は「数億ウォン台の利権が絡むどんぶり勘定式事業予算」を拒否し、政権の「実力者」ににらまれた趙会長が、最終的に金鍾徳(キム・ジョンドク)文化体育観光相(当時)によって辞任圧力を受けたという関係者の証言を報道した。

「記事に全部書かれているが、記事に書かれたことは90%正しい」と、趙会長は発言した。

趙会長はこの日午後、大韓航空の社屋でNEWS1の記者と会い、文化体育観光相からの辞任圧力についての質問に「そのような話は聞くな」として「終わったことについて何を聞くんだ?」と不満を示した。(中略)また、趙会長は「影の実力者」崔順実容疑者が所有する会社「ブルーK」と業務提携していたスイスの建設会社ヌスリ(Nussli)が、平昌オリンピックの施設の入札に参加することに反対の立場を明らかにし、崔氏からにらまれたという疑惑も持ち上がっている。(NEWS1、11月3日)

趙亮鎬(チョ・ヤンホ)韓進グループ会長

韓進グループは、大韓航空や、経営破綻した韓進海運などを傘下に収める韓国の大手財閥。「ナッツリターン」で話題になった大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)元副社長は趙会長の娘だ。

趙会長は、2018年平昌冬季オリンピックの大会組織委員長を務めていたが、2016年5月に「韓進グループの経営再建に専念する」として突然、辞任。「政府との不和」も噂されていた

崔順実容疑者と趙会長の確執は、さらに奥が深い。韓国1位の海運会社で、2位の現代商船に比べて事業再建の可能性が高いと言われていた韓進海運が経営破綻に追い込まれたのも、崔順実容疑者と関係が深いと言われる「ミル文化財団」に韓進グループが寄付した10億ウォンが、他の財閥より少なかったからだも言われている。

国内1位の海運会社にもかかわらず、政府による構造調整の犠牲となって経営破綻に追い込まれた韓進海運。世界的に海運業が不況の中、国内2位の現代商船とともに経営危機に陥ったが、結果的に政府が救済したのは現代商船だけだった。

先月の国政監査で「共に民主党」のパク・ヨンソン議員は、「10億ウォンをミル財団に寄付した韓進海運が法廷管理になったのは、寄付額が少なかったからだという見方がある」と述べた。財閥のランクとしては韓進グループよりも低いLS(15億ウォン)、CJ(13億ウォン)、斗山(11億ウォン)よりも少なかく「不敬罪に問われた」という推測だ。(中央日報、11月3日)

「原則」を強調した構造調整をするとして韓進海運を破綻処理し、6兆ウォン以上の国費を投入する海運産業の競争力強化案を発表するなど、つじつまが合わない政府の施策を見ると、「影の実力者」の介入疑惑がささやかれるのも無理はない。崔順実容疑者は、どこまでその根を下ろしていたのか。

注目記事