土人発言に鶴保庸介氏「差別と判断できない」⇒ 新潟県知事「差別です」

鶴保庸介沖縄北方担当相が「『土人である』と言うことが差別であるとは断定できない」などと述べた。これに対し、新潟県の米山隆一知事が反論した。

参院内閣委員会で発言する鶴保庸介氏

沖縄県の米軍ヘリパッド建設現場付近で、大阪府警の機動隊員が抗議活動をしている人に「土人」と発言した問題について、鶴保庸介沖縄北方担当相は11月8日の参院内閣委員会で、「『土人である』と言うことが差別であるとは断定できない」などと述べた。これに対し、新潟県の米山隆一知事が9日、「差別です」などと反論した。

■鶴保氏の発言はどんなものだった?

参院内閣委員会で鶴保氏は、共産党の田村智子氏への質問に答え「人権問題であるかについて第三者が一方的に決めつけるというのは非常に危険なこと」などと述べた。鶴保氏は、自身が自民党の人権問題調査会で長らく事務局長を務めていたと紹介。その経験から、次のようにコメントした。

「言論の自由は、もちろんどなたにもありますし、状況的判断もやっぱりあるわけです。その人権問題の一番のポイントは、被害者、差別発言を受けた方々の感情に寄り添うことであることは、論をまたないわけでありますけれども、その感情に対して、どうして、誰が、どういう理由でこれが差別であると判断するかについては、大変喧々諤々の議論があると思います。

そうした重い判断を、私個人が大臣という立場で『これは差別である』ということを断じることは、到底できないことでありまして、まだ今もこの議論は続いていると認識しておりますからこそ、そういう発言をさせていただきました」

これに対し田村氏は、「土人」「シナ人」という言葉は、人を侮蔑する言葉として使われてきた歴史があると指摘。菅義偉官房長官や松本純国家公安委員長が「遺憾」などと発言しているなかで、鶴保氏の答弁は「事の重大性を薄める」などと非難した。

鶴保氏は「過去に、土人という言葉の経緯でありますとか、その言葉が出てきた歴史的経緯でありますとか、様々な考え方があります」などと答弁。「現在差別用語とされるものであったとしても、過去には流布していたものが歴史的にはたくさん事例がございます。そういう意味におきましても、土人であると言うことが差別であるというふうには、私は個人的に断定はできませんと、この事を強調しておきたいと思います」などと発言した。

なお、土人発言をめぐっては、金田勝年法相が10月25日、参院法務委員会で「土人」は差別用語にあたるとの認識を示している

■新潟県知事は「差別です」

鶴保氏の発言について、新潟県の米山知事は9日、Twitterに「差別です」などと投稿。「大臣は日本人が"Barbarian!(未開人)"と言われた時、何と応じるのでしょうか」などと厳しく批判した。

この他、Twitterには「鶴保氏は国語辞典を読むべき」「完全に国民をなめている」などの投稿が相次いでいる。

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