美濃加茂市長に逆転有罪 上告方針を表明「到底受け入れられません」【UPDATE】

贈収賄事件で起訴され1審で無罪判決が言い渡された岐阜県美濃加茂市の市長・藤井浩人被告に、名古屋高裁は11月28日、逆転有罪判決を言い渡した。

岐阜県美濃加茂市の市長・藤井浩人被告(32)が、浄水プラント導入をめぐり業者から現金を受け取ったとして受託収賄などの罪に問われた裁判で、名古屋高等裁判所(村山浩昭裁判長)は11月28日、無罪とした1審の判決を取り消し、執行猶予のついた懲役1年6カ月の有罪を言い渡した。弁護側は即日上告する方針。NHKニュースなどが報じた。

藤井被告は、市議だった2013年4月に愛知県の会社社長・中林正善受刑者=贈賄罪などで実刑確定=から、市立学校に浄水設備を設置するよう市に働きかけを依頼され、その見返りに計30万円を受け取ったとして、2014年6月に逮捕、同7月に起訴された

一審公判で中林受刑者は、「藤井市長に現金を渡した」などと状況を供述。しかし、地裁判決は中林受刑者の供述が捜査段階で変遷していることなどを理由に、「信用性に疑問がある」と判断、無罪を導いた。

これに対して、検察側は「信用性に疑いをいれる余地はなく重大な事実誤認がある」と控訴。控訴審でも1審と同様、中林受刑者の供述・証言の信用性が最大の焦点になった。検察側の主張について、朝日新聞デジタルは次のように報じている。

検察側は、現金授受後にメールの回数が急激に増え、中林受刑者の働きかけが強くなったとして、「他の間接事実からも現金授受が推認される」と主張。さらに、証言が信用できる根拠として「金の準備状況が出入金記録で裏付けられた」などと訴えた。

 

岐阜・美濃加茂市長、逆転有罪 贈収賄事件で名古屋高裁:朝日新聞デジタルより 2016年11月28日13時44分)

これに対し弁護側は、検察側が主張する個別の事実は現金授受の間接事実になり得ないと指摘。「多くの『ごまかし』『すり替え』を行うなど、証拠や事実の評価が不当」と反論していた。

しかし、今回の2審の判決で名古屋高裁は1審の無罪を取り消し、懲役1年6か月、執行猶予3年、追徴金30万円の有罪を言い渡した。

判決について、藤井被告は「実無根の疑いをかけられた私としては、到底受け入れられません」とツイートし、直ちに上告する考えを示した。主任弁護人の郷原信郎弁護士はハフィントンポストの取材に対し、「被告人は控訴審では一言もしゃべらせてもらえなかった」などとコメントした。

藤井市長は2010年10月から美濃加茂市議を約2年半務めた後、2013年6月に28歳で自民推薦候補を破って市長に当選。全国最年少の市長になった。

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【UPDATE】

・2016/11/28 17:47 美濃加茂市長が上告方針を表明したとの内容を追記

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