オーストラリア移民局は2月24日、自閉症を持つシドニーの10代女性に対する強制国外退去処分を撤回した。
2009年から家族とともに同国に住んでいた16歳のスマヤ・ブイヤンさんは、24日に永住権を与えられた。彼女の母親でバングラデシュ出身のナスリン・ハケ博士は2013年に家族の永住権を申請したが、ブイヤンさんには「軽度から中度の」発達障害があることがわかり、オーストラリアの納税者の負担が増大するとみなされ、永住権の申請を却下されていた。
アレックス・ホーク移民局長補佐、自閉症を持つシドニーの少女の国外退去に介入
オーストラリア移民法では「家族の一員が健康要件を満たさない場合、その家族にはビザを発給しない」と明記している。つまり、ブイヤンさんが自閉症を抱えているため、一家はブイヤンさんと兄が生まれ、永住権のあるハンガリーに移住するしかない状況だった。兄妹はいずれもハンガリー語が話せず、ハケ博士は、シドニーの医療業務を断念しなければならなかった。
オーストラリア移民局は、24日までに一家がオーストラリアを退去する飛行機のチケットを購入する猶予を与えた。わずか2週間の間に退去できなければ、強制国外退去処分となるところだった。
この処分に批判が高まり、自閉症患者を支援する活動家からは、「恐ろしいほど非情な処分だ」と非難の声が上がった。
ハケさんは、「娘は決して納税者の財政的負担ではない」と主張した。 ハケさんは署名サイト「Change.org」の請願文に、「ブイヤンさんは一度も政府から財政的支援を受けたことがなく、特殊学校にも通っていない」と訴えた。ハケさん一家には、処分に反対する人々の支援が集まった。
「医者としてフルタイム働いてきましたから、私は国からの援助を受けず、経済的に家族を支えられています」と、ハケさんはChange.orgで訴えた。「追放処分になったら、私たちの家族は崩壊します」
ハケさんの子供たちは、オーストラリアにいる親族と非常に緊密な関係を築いている。子供たちの祖父母、叔母、叔父、いとこたちは、全員がオーストラリア国民だ。
アレックス・ホーク移民局長補佐はこの1カ月間、ブイヤンさんに永住権を付与するよう求める世論に応じていなかったが、24日になって方針を転換した。
ホーク局長補佐は、ブイヤンさんの永住権付与にあたり、彼女のようなケースは「非常に複雑なものだ」と語った。ホーク局長補佐は、ハケさんと彼女の息子にも永住権を付与する意向とみられる。
ハケさんは朗報を受けとった直後、シドニー・モーニング・ヘラルド紙に「とても良い気分です。今日は本当に良い気分です」と語った。「何カ月も不安を抱え、大変でした。でも、これは本当に素晴らしい知らせです」
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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