受動喫煙防止対策をめぐり、厚労省案と自民党の対案について議論が行われた5月15日の自民党厚生労働部会で、がん患者の立場を考慮した対策を求めた三原じゅん子参院議員に対し、「(がん患者は)働かなくていいんだよっ」とのヤジが飛び、波紋が広がっている。このヤジについて、大西英男・衆院議員が21日に更新した自身のブログで発言したことを認めたが、一方で「そういう趣旨で行った発言ではない」と釈明した。
厚労部会では、屋内は原則禁煙とする厚労省案と、表示をすれば喫煙を認める自民党の対案をめぐって議論が対立。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが行われるが、08年の北京オリンピック以降、オリンピック開催国の飲食店は屋内禁煙に規制されており、厚労省案はこの流れに沿ったものだ。部会は報道陣に非公開だった。
子宮頸がんの経験を持つ三原氏は部会で、がん患者の就労支援の重要性や、がん患者が望まない受動喫煙への配慮を訴えた。ヤジが飛んだのは、この直後だったという。
三原氏は部会後、自身のブログに「怒り!」と題して次のように記した。
(前略)公共の場も飲食店も、自分で選択出来るならいいけれど、仕事であったり上司に連れて行かれたり、またその場で働かなければならなかったり、、、、望まない受動喫煙は苦しみ以外の何ものでもありません。
まして、がん患者の方々は就労を続ける事や新たに働く場を見つけるのも困難な場合もあります。
好きな所で働くという選択が許されないほど現実は厳しいのです。
そうして、やっと見つけた職場が喫煙可で煙モクモクの中ではたまったものではありません。
そういう方々のお気持ちに寄り添うことも必要では?と発言させて頂きました。
が、残念ながら余りにも心無い野次に私は心底怒りで震えました。(後略)
(怒り!|三原じゅん子オフィシャルブログ「夢前案内人」Powered by Amebaより 2017/05/15 19:31)
一方、大西氏はブログで「(がん患者は)働かなければいい」という趣旨で発言を私は行っておらず、仮に三原議員がそのように受け取られたとしても、私自身がそういう趣旨で行った発言ではないことはその後すぐに『そういうことは言ってないでしょ』と反論していることからも明らかです」などと記した。
22日放送のフジテレビ系「とくダネ!」はこの問題を取り上げ、小倉智昭キャスターは、大西氏がブログで釈明している点について「何なんですかね? どんな言い訳しても認められない。どんな趣旨でもダメでしょ」と批判した。
自民党の大西英男氏=東京・国会内 撮影日:2015年06月30日
受動喫煙防止対策をめぐり、政府は、働き方改革で病気の治療と仕事を両立できる環境の実現をめざしている。共同通信は20日、「昨年成立した改正がん対策基本法も、患者が仕事を続けられるよう企業に配慮を求めており、この流れに逆行した発言と受け止められている」とし、患者団体が反発していると伝えた。
病児保育などを運営するNPO法人「フローレンス」代表の駒崎弘樹さんも、部会の直後に自身のブログで「こうした発言が、国会議員から出るのは、常軌を逸しています。自民党のクローズドな部会だから問題になっていませんが、国会だったら議員辞職ものの発言だと思います。しかし、いみじくもこの発言は、自民党の愛煙派議員の本音を表していようかと思います」と批判した。
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