経済産業省の若手職員で構成する「次官・若手プロジェクト」が作成した資料が、ネット上で注目を集めている。「2度目の見逃し三振はもう許されない」などといった独特の表現で、日本が抱えるさまざまな問題について提言している。
話題となっている資料は、民間の経済力向上などを目指す産業構造審議会総会で配られた「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデルなき時代をどう前向きに生き抜くか〜」。
その中で、「正直、いろいろ変わりすぎてついていけない」「ネット社会って便利だけど孤独」「このままじゃダメなのは明らかなのに、なんでこの国は変われないんだろう」などの話し口調で、誰もが漠然と抱えている不安や不満を挙げている。
また現在の社会システムを、サラリーマンと専業主婦、定年後の年金暮らしを前提とした「昭和の人生すごろく」と表現。「コンプリート率は既に大幅に下がっている」と、社会システムが個人の生き方や価値観の変化に対応できていないことを問題視している。
内容は多岐に渡り、高齢者や母子家庭、インターネットなどについても言及。病院以外で最期に迎える選択肢がほとんどないため、自宅で最期を迎えたい人への延命治療によって莫大な医療費がかかっている現状に触れ、「どんな人生の最後を迎えたいですか?」「『終末期の自分』を選択できていますか?」などと問題提起している。
その他にも、今が少子高齢化を克服する最後の機会だとして、「2度目の見逃し三振は許されない」と訴えている。
この資料に対して、Twitter上ではさまざまな反応が寄せられた。「パワーワード満載すぎ」「なんとかしないとやばい感がすごい」などと、危機意識が前面に現れた内容に対して反響の声があがった。「非常に分かりやすい」「熱のある資料、こういうのが経産省から出てきたこと希望そのもの」といった肯定的な意見が集まる一方で、「自分たちの責任を棚に上げて理想ばかり語っているように見える」「『高齢者を働ける限りは働かせる』とか、恐ろしいことが書かれている」と、否定的な人もいた。
■問題意識を問いかけるため、伝わりやすい表現に
ハフポスト日本版は5月22日、経産省に話を聞いた。担当者は「社会の大きな変化を捉えて、広く問題意識を問いかけるために資料を作成した」と説明。独特な表現を用いたことについては「従来の行政資料では、正確性を期すあまり分かりにくくなってしまっていた。どうすればより伝わりやすいかを考えた」と述べた。
資料を公開するとさまざまな反響があり、「多くの人に見てもらえ、好意的な反応もあった。問題意識を問いかけていくという目的には合致したと思う」と強調。「具体策がない」などの意見に対しては「そこまで提示できればよかったが、反響があったことで問題意識が広がったと思うので、今後具体的な解決策の議論につなげていきたい」と話した。
■関連画像集「信州若者会議 画像集」
【※】スライドショーが表示されない場合は→こちら。