「女性が強く生きるには」誤解されがちなチアの世界、橋詰あずささんがNFLの経験で学んだこと

アメフトの最高峰NFLワシントン・レッドスキンズのチアリーアー、橋詰あずささんは、初めてのシーズンを終えて帰国した今年4月、東日本大震災の被災地、宮城県でチアに取り組む子どもたちの支援活動に参加した。

アメフトの最高峰NFLでは、チアリーダーとして日本人女性も活躍を続けている。

その1人、ワシントン・レッドスキンズ(ワシントンD.C.)の橋詰あずささんは、初めてのシーズンを終えて帰国した今年4月、東日本大震災の被災地、宮城県でチアに取り組む子どもたちの支援活動に参加した。

「震災でできなかったこともあったと思う。でも夢を追いかけ続けるお手伝いができたら」と話す。その活動の背景には、橋詰さんがこの1年間で学んだ経験があったという。

(写真提供) Washington Redskins

橋詰さんは、倍率18倍という熾烈なオーディションを勝ち抜いて、2016年秋からのシーズンで憧れの舞台に立った。

(写真提供) Washington Redskins

ビザ取得や、慣れない生活に四苦八苦しながらも迎えた9月のチーム初戦。緊張を隠して飛び出した本拠地のフェデックスフィールドは、9万人近くの観客でいっぱいに埋まっていた。

日本では経験したことがなかった大歓声、そして、タッチダウンのたびに歌われる伝統の応援歌「Hail to the redskins」でフィールド中の観客と一体になって踊った瞬間、胸が震えた。

NFLのチアリーダーは1年ごとにオーディションを受け続けなくてはならない。橋詰さんは2017年シーズンのオーディションにも合格して、無事、2年目を迎えることができたという。

(写真提供) Washington Redskins

また、チアにはフィールドだけでなく、地域の学校や老人ホームを訪問するという大切な任務も課せられている。特に印象深かったのは、米軍の慰問のため、中東・バーレーンの基地を訪問したことだという。「世界の平和を守るために活動している人やその家族を応援するために踊る。今までにない貴重な体験でした」

また、チームのメンバーらとの関わりでは「女性が強く生きるには」と強く考えるようになったという。

「チアは『女性であることや見た目を売りにしている』と誤解されがちな世界でもある。でも、チームメイトたちは看護師や教師、起業家、母親としての顔も持ち、それぞれ自立し、美しく逞しく生きている人たちでした。内面を重視し、地域貢献の活動にも熱心に取り組んでいました」。

(写真提供) Washington Redskins

そうした経験を生かし、一時帰国した今年4月、橋詰さんは同じく海外で活動したチアの仲間の呼びかけに答えて、被災地での支援活動に参加した。

参加した「ToBiRaプロジェクト」は、国内外で活躍するトップクラスのチアリーダーやダンサーの有志による活動。東日本大震災や熊本地震の被災地でワークショップなどを開催し、ダンスやチアに取り組む子どもたちの夢を後押しするのが目的だ。2017年7月29日には仙台市で「東北チアフェスティバル」の開催も予定している。

橋詰さんのワークショップは4月15日、東北でチアに取り組む小・中学生、約30人を対象に行われた。橋詰さんは振り付けの指導をし、子どもたちとともに、サッカー実業団チーム「ソニー仙台FC」のシーズン初戦の応援を彩った。

ワークショップの中では、子ども達から「プロとして活動する上で必要なことは?」「あずささんにとってチアとは?」「どんなチアリーダーを目指しているの?」など、たくさんの質問があったという。

あずささんは、ダンス指導とともに、「震災で辛い思いをしたり、練習ができない日々もあったかもしれないけれど、続けていれば夢はきっと叶う。夢を大きく持って」と語りかけた。

「被災地は震災前に戻すのではなく、もっと先へと進もうとしているのが印象的でした。1人でも多くの子に、夢や目標に向かって突き進んで欲しい。そのお手伝いができたら」と話している。

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