「双方に責任がある」 トランプ大統領の発言、さらなる波紋呼ぶ 【シャーロッツビルの暴動】

「双方の側に言い分があるというということだけは言っておきたい。暴動が起きた当初はこの国にとってひどい出来事だと考えたが、しかし言い分は、双方にある」
U.S. President Donald Trump speaks about the violence, injuries and deaths at the
U.S. President Donald Trump speaks about the violence, injuries and deaths at the
Kevin Lamarque / Reuters

アメリカのドナルド・トランプ大統領が8月15日、バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者らと反対派の衝突について、「双方に責任がある」などと記者会見で述べた。

衝突をめぐっては反対派の集団に乗用車が突っ込み、1人が死亡、19人が負傷。トランプ大統領は白人至上主義者たちの責任をめぐって発言が二転三転し、批判を浴びている。

会見するトランプ大統領

●「反対派のグループにもトラブルメーカーもいた」

15日、トランプ大統領はニューヨークのトランプ・タワーで記者団の質問に答える形で、「あの場にいた人たちは、まともに、合法的に抗議(protest)するためにいた」と説明。「ご存知ないかもしれないが、彼らは集会をする許可をもらっていた。反対派グループは許可を取っていない」と語った。

また、「双方の側に言い分があるというということだけは言っておきたい。暴動が起きた当初はこの国にとってひどい出来事だと考えたが、しかし、2つの側面がある」とし、以下のように語った。

「ネオナチや白人至上主義者らは徹底的に非難されるべきだが、しかし、あのグループの中にはネオナチでも白人至上主義者でもない人たちもいた。そしてメディアは彼らを不当に扱ってきた。そして、反対派のグループにも、いい人々もいたが、トラブルメーカーもいた。黒い服を着てヘルメットをかぶり、野球バットを持って向かっていった。相手のグループの中にも悪い連中はたくさんいたのだ」

また、トランプ大統領は反対派グループを「オルトレフト(Alt-left)」と新しい言葉を使って表現し、「オルトライトを突撃したオルトレフトはどうなのか?彼らはゴルフクラブを振り回していた。彼らにも問題がある」と発言した。

このトランプ大統領の発言は再び反発を呼んでおり、共和党のロス・レイティネン議員は自身のTwitterを更新し、「双方に責任がある」との発言に「ノー(No)」と反対姿勢を示している。

シャーロッツビルの暴動に関するトランプ大統領の発言をめぐっては、当初、白人至上主義団体の「KKK(クー・クラックス・クラン)」やナチズムを信奉する「ネオナチ」などを明確に名指ししなかったことに対して批判の声が上がっていた。

●8月12日 「さまざまな側(on many sides)」との表現が批判を呼ぶ

トランプ大統領は暴動が発生した12日、ニュージャージー州で記者団に対し、「様々な側から(on many sides)もたらされる憎悪、偏見、暴力に、可能なかぎり最も強い言葉による抗議を表明する」と語った

アメリカNBCのホワイトハウス担当記者、ハリー・ジャクソン氏が「様々な側から」という言葉の意味をホワイトハウスに確認すると、「大統領はあらゆる原因、あらゆる側からもたらされる憎悪、偏見、暴力に抗議している」との回答があったという。

また、Twitterでも数度、事件に関係するツイートを投稿しており、自らが選挙中に掲げたキャッチフレーズを用いて「肌の色、信仰、宗教、支持政党を問わず、我々は皆『アメリカンファースト』だ」などと言及。

「白人至上主義」や「ネオナチ」などと名言しなかったことに対し、民主党だけではなく共和党内からも批判の声があがった。

●8月13日 ホワイトハウスが大統領発言を擁護

ホワイトハウスが声明を出し、「大統領は昨日の声明で、あらゆる形の暴力と偏見と憎悪を非難すると、強力に表明した。その中にはもちろん、白人至上主義者もKKKもネオナチも、あらゆる過激主義組織が含まれる」と、大統領発言を擁護した。

●8月14日 「人種差別は悪だ」KKKやネオナチなどを名指しで非難

トランプ大統領はホワイトハウスで演説し、「人種差別は悪だ。その名のもとで暴力を振るう者、KKKもネオナチも白人主義者も、そのほかのヘイト・グループを含む人々は、アメリカ人が大切にする全てのものと矛盾している」と名指しで非難した

▼(画像集)▼

シャーロッツビルの暴動(2017年8月12日)


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