アメリカ連邦議会で10月13日に行われた下院審理で、議会の中でセクハラを行っている議員が少なくとも3人いると女性議員たちが告発した。ハフポストUS版などが報じた。
告発した1人、バーバラ・コムストック下院議員(共和党)は、ある下院議員が、女性補佐官に対して自宅に荷物を届けさせた際に、身体を覆っていたバスタオルを取って性器を露出させたという話を明らかにした。
その女性補佐官はすぐに家を離れ、その後退職したという。
一方、ジャッキー・スピヤー下院議員(民主党)によると、彼女が知っている議員は民主党、共和党のそれぞれ1人ずつだとしたが名前は伏せた。
彼女は、職員がセクハラを訴えるために必要とされる、複雑なプロセスの問題点を挙げ、告発をもっと容易にすべきだと訴えている。
現在の制度では、セクハラ苦情を申し立てる前に、被害者側に対して30日間のカウンセリングを受ける義務が課せられている。また、調停では非公開契約に署名することを要求されるという。
スピヤー下院議員の広報担当者によると、この複雑な制度によってこの数週間で話を聞いたセクハラ被害を受けた人のうち80%が報告しないことを決めた。これが被害を発覚させることを妨げている。
このプロセスは1990年代の議会責任法によって制定されたもので、スピヤー下院議員は「21世紀には適切ではない」と批判した。そして、以下の3点について提案した。
・議会のメンバーとスタッフに対するセクハラ防止と対応訓練を義務づけること
・2年ごとにセクハラや性暴力などの違法行為についての調査を行うこと
・紛争解決システムを改革すること
ハリウッドを舞台にしたセクハラ疑惑騒動は、11月中旬に入って連邦議会にも発展した。
14日には、セクハラや性暴力を行った男性議員の名前が「クリープリスト」として、女性議員や職員、インターンの間で、非公式に口頭で受け継がれていたことをCNNが報じた。
このリストには性的な発言や、ジェスチャーによるセクハラ行為、性的接触を求めようとした人々の名前が記載されており、議会にセクハラが蔓延していること、これまで女性たちがその対応に苦慮してきたことが明らかになった。
CNNはさらに、50人以上の元議員らへの匿名インタビューで、ほとんどの女性がセクハラを経験していたことを明らかにした。そしてその背景として、3つの特殊な環境を挙げている。
・男性議員たちのほとんどが地元に配偶者・家族を残してワシントンDCに住んでいる
・さらに一部の議員はアパートではなく議会の事務所で寝泊まりしている
・議会周辺ではチャリティーなどで酒宴の席に頻繁に参加する機会がある
一方で、時にはそうした行為が「キャピトル・ヒル(議会)でのセックストレード」(いわゆる「枕営業」)と称されているとも指摘している。
議員や上級幹部からの性的接触が、一部の女性たちにとってキャリアの前進になると受け止められており、利用する女性もいるとの証言を掲載している。
性の被害は長らく、深い沈黙の中に閉じ込められてきました。
セクハラ、レイプ、ナンパ。ちょっとした、"からかい"。オフィス、教室、家庭などで、苦しい思いをしても私たちは声を出せずにいました。
いま、世界中で「Me,too―私も傷ついた」という言葉とともに、被害者が声を上げ始める動きが生まれてきています。
ハフポスト日本版も「Break the Silence―声を上げよう」というプロジェクトを立ち上げ、こうした動きを記事で紹介するほか、みなさんの体験や思いを募集します。もちろん匿名でもかまいません。
一つ一つの声を、確かな変化につなげていきたい。
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