あの人のことば
2018年03月17日 11時01分 JST | 更新 2018年03月17日 11時35分 JST

「ちょっとハードル高い」は、もったいない!人生の地平線を広げる、"現代アート"の楽しみ方

なんだか、気が楽になったかも…!

RYOKO TAJIMA/HUFFPOST JAPAN

『アート』は、人生を豊かにしてくれる。

でもアートって、心のどこかで「ハードルが高い...」「とっつきにくいんだよなぁ」と思うことはありませんか?

特に、「現代アート」って難しいですよね...。

星の数ほどある作品の中から、どうやったら素敵な作品に出会えるのだろう?

そんな疑問を出発点にしたイベントが、1月18日夜、ブルーボトルコーヒー六本木カフェで開催されました。

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

話し手は、森美術館キュレーターの椿玲子さん。ハフポスト日本版ニュースエディターの吉川慧が聞き手となり、「現代アートの楽しみ方」について語っていただきました。


ブルーボトルのフレッシュなコーヒーを片手に、椿さんが語ってくれた「現代アートを気軽に楽しむ秘訣」をご紹介します。

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

■「キュレーターでも、読み込まないと分からない作品がある」

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

現代アートの難しさについて、吉川はこんな体験をしたことがあるそうです。

「現代アートって、抽象的で難しいという印象があります。幾何学模様や目玉がたくさんあったり...。そういう作品を美術館に見に行ったとき、隣の人がフムフムと頷いていて『なんでこの人わかってるの!?』と思ったことがありました」

これには、会場でも頷く人がたくさんいました。

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

こうした声に、椿さんはこう答えます。

「最近は、より解説を読まないとわからない作品が多くなってきていると思います。キュレーターでも、読み込んでやっと、『あぁなるほどね』ってなったりすることもあるんですよ」

キュレーターさんでも、しっかり読み込まないと理解できない作品があるんですね...!なんだか、ちょっと安心...。

さらに話題は、椿さんが企画し、森美術館で開催中の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」の話に。

この展覧会の魅力は、現代アートでありながら、実際に見て、体験して、楽しめる作品がたくさんあることなんです。

たとえばこんな作品。

KEI YOSHIKAWA/HUFFPOST JAPAN
レアンドロ・エルリッヒ《建物》

実際に体験した吉川は「現代アートに『楽しい』というイメージがついた」と話します。

椿さんも「レアンドロ・エルリッヒ展」の魅力について、こう語ります。

「レアンドロ展は参加型パフォーマンスアートなので、老若男女楽しめますね」

​​​​​​「作品の"ネタバラシ"があることも面白いポイント。レアンドロは建築一家に生まれたこともあって、人がどういう風に動くかというのを計算して空間をデザインしている。そこに彼なりの視点がありますね」

Kei Yoshikawa/HuffPost Japan
横たわった建物の壁に人々が寝転がり、上部の鏡に映っている自分を眺めているもの。

しかも、この展覧会、動画や写真の撮影、Instagramへの投稿も大歓迎だそうです(フラッシュはダメ)。

その意義について、椿さんはこう語ります。

「レアンドロは、より多くの人に楽しいという感情を持ち帰って欲しいと考えています。今回の彼の作品は人が参加することで完成しますし。インスタを見て『面白そう!』って来てくれる人も沢山います」

「知らない人に写真を撮ってもらったり、一緒に写真の中に入ったりして新しいコミュニケーションが生まれることもありますよ」
​​​

■アートは「教科書的」に学ばなくてもいい

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

小難しいそうな現代アートも、こうやって体験できたりすると面白そう!

アートを鑑賞する上で、大切なことってなんでしょうか。

椿さんは、こう語ります。

まずはいろんな展覧会に足を運んで見て、自分の心にフィットするものを探してみましょう。面白い作品に出会ったら、作者や作品について、ちょっと調べてみてほしい。そうすると、わからないことがわかるようになって、どんどん楽しみが広がっていく。色んな作品に出会っていくうちに、楽しくなってくるかもしれません

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

一方で、知識を覚えることだけが楽しみ方ではないと、椿さんは話します。

「もちろん、その作品について知ることは大切です。本当にその作家が表現したいことが、そのものとして伝わっているかを知ることなので」

「でも、実はそれだけではない。見る人の解釈が、半分決めるとも言えるんです。だから、解釈が人によって異なってもいい。人によって考え方はそれぞれなんです。自分が、その作品をどう思うかを大切にしたほうがいいですね

RYOKO TAJIMA/HUFFPOST JAPAN

そのうえで椿さんは、「作家が何を作りたかったのか」を読み取る重要性についても強調します。

「メッセージ性があって、伝えたいことが明確だったら、アートじゃなくてドキュメンタリーや文章でもいいはず。でも、どうして作家は「アート」という形をとったのか、この表現で伝えようとしたのか...。そんな作家の意図を汲み取ることは、現代アートを鑑賞する上で大切な観点だと思います」

「様々な両義的な問題や感情、理論で説明できないようなことなど、絵画や彫刻のみならず、映像、インスタレーション、パフォーマンス、参加型アート等々、その表現でしかうまく伝えきれないものがあると思うのです」

■「このアート嫌い」って言ってもいい

『このアート嫌い』って言っても良いんです。ものの見え方って、その人が持っている、『世界をどう見るか』ってことだと思うので。でも、優れた作品には、みんなが共通して『なにか』を感じ取れるような力があるように思えます

椿さんの言葉を聞いて、なんだか心が軽くなった気分でした。

AYA IKUTA/HUFFPOST JAPAN

「美術館に行く」となると、どうしても身構えてしまう...。そんな人に向けて、椿さんはこう語りかけます。

「私は学生時代、パリで過ごしたことがあるのですが、パリの人たちは映画を観にいくような感覚で美術館に行く。そして、自分たちが感じたことを自由に語り合うことを大切にしているんです」

「現代アートの面白いところは、『この作品を後世に残していくことができるのは、他でもない私たち』という視点です。現代を生きている私たちが『この作品すごく良いね』と思ったものが、今後も残っていく。私はキュレーターとして、そういう後世に残っていく作品を皆さんに知ってもらう機会を提供できることをとても嬉しく思っています」


*編集後記


アートは教科書的に学ばなくていい。身構えず、素直に感じているうちに、面白くなってくるんですね。そう考えるとアートを見つめることは、自分自身を見つめることなのかもしれない。椿さんの言葉は、そんなことを感じさせてくれました。

椿さんが企画した「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」は4月1日まで、六本木の森美術館で開催中です。五感で楽しめる展覧会、ぜひ体験してみてください!

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「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」

会期:2017年11月18日(土)~ 2018年4月1日(日) ※会期中無休

会場:森美術館

開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ、17:00まで(最終入館 16:30)

※3/24(土)・25(日)・31(日)、4/1(日)は9:00〜21:00まで(最終入館21:30)

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「Coffee With HuffPost Japan @ Blue Bottle Coffee」は今後もテーマや登壇者を変えながら継続開催していきます。