大学授業料「出世払い」案に財務省難色 「格差広がる」
政府が導入を検討する大学の授業料の後払い制度について、財務省は17日の財政制度等審議会(財政審)で「高所得世帯に便益を与えることになり、格差を拡大させる」として難色を示した。制度実現に向けた動きは与党や業界にもあり、来年度の予算編成に向けて牽制(けんせい)した格好だ。
安倍政権は昨年12月に閣議決定した「政策パッケージ」で、大学の授業料の後払い制度を「検討継続事項」に挙げている。政府が大学の授業料を一時的に肩代わりし、学生が卒業後に所得に応じて後払いするオーストラリアの「高等教育拠出金制度(HECS(ヘックス))」がモデルだ。
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ただ、高所得世帯も対象になるため、財務省は現行の奨学金制度を受けている低所得世帯との比較で「格差がかえって拡大する」と主張。また、「返済しきれない分を誰が負担するのか不明だ」として、財源問題も指摘した。この日の審議会でも、委員から「格差是正につながらない」などと否定的な意見が出た。
一方、昨年11月には自民党教育再生実行本部がHECSを参考にした制度を提案。日本私立大学団体連合会も同様の制度を求めており、文部科学省も前向きだ。
財務省は定員割れの大学が相次いでいることなどから、「適切な経営がなされていない大学、専門学校が税金で救済されることがあってはならない」と主張。予算配分にあたり、教育の質を重視する姿勢も強めており、予算編成が本格化する年末に向け、文科省などとの綱引きが激しくなりそうだ。(笹井継夫)
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(朝日新聞デジタル 2018年04月17日 22時08分)
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