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2018年04月20日 12時34分 JST | 更新 2018年04月20日 12時50分 JST

セクハラ相談を、上司1人が判断するのは適切なのか。弁護士が提案する「組織での対応」とは?

テレビ朝日の女性記者からのセクハラ相談への対応を、上司は1人で判断していた。

時事通信社
テレビ朝日本社

福田淳一・財務事務次官から、テレビ朝日の女性記者へのセクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)があったと同社が認めた。

同社は女性記者は、セクハラの事実を報じるべきではないかと上司に相談した。上司は「放送すると本人が特定され、いわゆる二次被害が心配される」ことなどを理由に「報道は難しい」と判断したという。

会社としての対応を問われるような事案を、利害関係や個人の判断に左右されずに解決へ向かう仕組みはどうあるべきか。ハラスメント問題に詳しい寺町東子弁護士の話を聞いた。


セクハラやその他の不祥事など、従業員がトラブルに巻き込まれた場合、企業のコンプライアンス(法令遵守)を徹底するマネジメント手法とは、どうあるべきなのかを考えたいと思います。

セクハラを防ぐために企業がとるべき対応は、1基本方針(ポリシー)の表明、2外部通報窓口の設置、3調査体制の整備、4是正措置・再発防止策の策定――に大きく分かれます。

まず、トップが会社の方針として、セクハラなど違法な行為や不適切な行為は断固として許さないというポリシーを表明することが大事です。具体的には、「社内でも許さない」「取引先に対してしない(下請けイジメをしない)」「取引先/取材先からのものも許さない」「厳正に対処する」――という点を明らかにするべきでしょう。

次に、外部に通報窓口を設置します。

この際、「通報者が必ず守られる」ということが、一番大事です。通報者の秘匿と不利益取扱いの禁止といった、通報者を守れるシステムを構築します。

通報ルートは、経営幹部から独立したものを設けることが不可欠です。例えば、民間企業であれば、社外取締役や監査役など、経営に影響力を持ちながらも、独立性を有する窓口が望ましいとされています。

単に外部の弁護士の窓口ならいいのではなく、利益相反関係を排除した関係が不可欠です。

弁護士会を通じ、外部の通報窓口の役割を果たせる弁護士を紹介してもらう方法もあります。消費者庁の公益通報者保護制度に関するガイドラインにも書かれていますが、組織の顧問弁護士を通報窓口にするのは、組織の利益と通報者の利益が対立し利益相反関係になることから、通報者保護の観点から不適切です。

外部の通報窓口と委託契約を結ぶ際には、「通報者の秘密は守る」「通報者の許可無く外部窓口が会社に情報を流さない」などの条項を入れます。

3つ目の、通報があった場合に調査を担当する部署(コンプライアンス室や法務部、外部役員の所管部署など)には、独立性をもって問題を調査する権限が必要です。また、照会があれば、調査に応じることを全社員に義務づけることが必要です。調査に応じたことで、不利益に取り扱われないようにするためです。

最後に、調査の結果に応じて、経営幹部は、是正措置、再発防止策を取り、それを通報者や関係者にもフィードバックします。こうすることで、通報者のモチベーションを損わず、違法または不適切な行為を改善し、企業価値を高めることができるのです。

以上のような内部通報のシステムを作ることは、ガバナンスの問題として、海外投資家からもチェックされるので日本の企業でも整備されてきています。

今回、セクハラに関する相談を受ける通報窓口がテレビ朝日にありながらうまく機能しなかったのか、もともとないのか明らかではありませんが、社員がこの通報窓口の仕組みなら通報したいと思えるか、安全・安心が守られている仕組みになっているか、報道機関を問わず、この機会に問い直すとよいと思います。


寺町東子(てらまち とうこ)

弁護士、社会福祉士、保育士。「一般社団法人子ども安全計画研究所」などで、教育・保育施設での重大事故防止の活動を続けている。著書に「子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園 ~教育・環境・安全の見方、付き合い方まで」(共著・5月発刊予定)