アート&カルチャー
2018年05月21日 06時00分 JST | 更新 2018年05月21日 09時50分 JST

「理由のない校則」に憤った高校生は、アパレルブランドを立ち上げた。

ルールって本当は、何のためにあるんだろう?

東京都内の高校生、Moppyさんが、アパレルブランド「Feeling Nothing」を4月に立ち上げ、「高校の校則」をプリントしたTシャツの販売を始めた。留学先の高校で、校則のありようが日本と大きく違っていることにおどろき、その違和感を共有したいと考えたからだ。

何があったのか。くわしく話を聞いた。

Feeling Nothing
日本の高校の校則文の英訳をプリントしたTシャツ

Moppy:私がいま通っている高校は、授業中に水を飲んだり、トイレに行ったりするのが禁じられています。なぜこういう決まりなのか、理由を聞くと「校長先生がお決めになったので」と説明されるだけ。思ったことを言っても、何も変わらないんだと思った。マフラーの長さも「伝統」で決まっています。本当は「伝統」という理由だけで思考停止してほしくないんですけど。

放課後に先生が教室のゴミ箱を漁ったらしく、『このお菓子を食べた人は誰ですか!』とクラス全員で怒鳴られたことがあった。

お菓子の入った袋ごと取り上げられて面談になりかけたこともあった。

授業中にあまりにも喉が渇いて水を飲んでも良いか聞いたら、凄い形相で怒られたこともある。

帰り道に親に電話していたら、先生に取り上げられて三者面談になったこともある。

一体ルールって何のためにあるのだろう?

Feeling Nothingのサイトから

Moppyさんが実名ではなく、匿名で取材に応じたのは、学校に活動を知られたくないからだという。

Moppy:校則へのぼんやりとした違和感が、より鮮明になったのは、2016年から1年間、北米に留学してから。通学していた地元の高校で配られていた生徒手帳には、校則がたくさん書かれてはいましたが、あまりに日本と違うので驚きました。印象的だった校則の一つは、学校にピーナッツを持ってこない、という規則。それはピーナッツアレルギーの人を守るため、という理由でした。

学校のルールにも、ちゃんとした理由があったんです。アレルギーの有無、人種・宗教・性別の違い、いろんな人がいるからこそ、みんなが生きやすい、個人を尊重するために必要な規則が盛り込まれていました。規則の隣に理由が記入されている欄もあって、なぜそのルールがあるのか、理由も書かれていました。

MASAKO KINKOZAN/HUFFPOST
Moppyさん

でも、いま日本で通っている学校は、みんなを管理しやすいように個人の行動を規制するためのルール、という感じで、理由も説明されないまま。なぜこんなに違うんだろう、と。

ちゃんと理由を説明してもらえるのと、「偉い人が言ったから。決めたから」とだけ言われるのでは、同じ校則といっても納得感が違う。そういったことを、多くの人に考えてもらいたい。

「Feeling Nothing」にしたのは、「麻痺してないか」と問いかけたかったからです。「校則だから仕方ない」と、深く考えずに言われたとおり受け入れている生徒にも、疑問に思わずに校則に生徒をあてはめようとしている教師にも。

ーRules exist to silence usー規則は私たちを黙らせるためにあるんだ。

社会での規則というものは、本来ならば人間がより良く生きられるようにするために存在しているはずだ。

しかし、今の日本はどうだろうか?

規則というものが果たして本来の目的で存在しているだろうか?

私たちは気づかないうちにそんな規則たちによって押し潰されていないだろうか?

Feeling Nothingのサイトから

Moppy:学校は規則だらけなんですけど、塾は個性的な生徒が多くて、校則への違和感や、やってみたいことを相談すると、共感してFeeling Nothingに協力してくれる人が出てきました。Tシャツにプリントされた、脳みそをとられて「考える」ことのできなくなった人間のイラストは、Feeling Nothingの活動を一緒にやっている塾の先輩が、私が描いたイラストをもとに、今のデザインで描いてくれたものです。

Feeling Nothing
Feeling NothingのTシャツに描かれたキャラクター。脳みそを取り上げられ、何も考えない人間を強烈に皮肉っている。

塾の先生には、クラウドファンディングで資金を集める方法を教えてもらいました。2018年3月に呼びかけたら、目標(10万円)を超える寄付が集まりました。

また、先生から「スペキュラティヴ(思索)デザイン」という概念も教えてもらったことも、校則への違和感をTシャツで表現する方法につながるきっかけの一つになりました。

アートや建築で問題を提起して、社会課題への新たな思考を生み出すアプローチがあることに驚きました。それなら自分が好きなファッションも同様に、世の中の当たり前を疑って、どうずればいいかという会話や思考を生み出せるんじゃないか、という気がしたんです。

Feeling Nothing
ピーナッツの持ち込みを禁じた理由を説明する校則文を載せたTシャツの後ろ身頃

現状を変えるには正面から問題を訴えるだけではなく、人々の意識の変化につながる仕掛けづくりに重点を置くということも大切なんだと、改めて感じました。こうした考え方を取り入れて、ピーナッツ禁止の理由を書いた校則文の一部を、背中にプリントしたTシャツを作りました。この文を見た人が、いったい何だろうと思って着ている人やつくった私に尋ねてくれたら、そこから会話が生まれますから。


学校に通うだけの生活を送っていたら、こんなことも思いつかず、とても狭い世界で生きているだけだったと思います。でも、塾の仲間がいるおかげで、自分らしくいることができる場所が私にはある。これだけ多様で違う価値観があると知ることができるし、Feeling Nothingを始めることができた。

学校と塾という2つの異なる「ルール」の間で生きること? しんどいですよ、しんどいですけど。

大きな違和感を感じた。

ー  規則、偏見、固定概念、協調性、伝統  ー

このような意識があるせいで感情を押し殺し、自己を潰す。

" みんな一緒 " が正しいとされている社会。

たった一人の意識が変わったところで何も変わらない。

たった一人が行動したって何も変わらない。

多くの人が、何かに気づき、多くの人の意識を変えたい。

そんな思いが " FEELING NOTHING " の服たちには込められている。

 " みんな違ってイイ " こんな社会がどんな社会になるのだろう。

FeelingNothingのサイトから