「同性愛は犯罪ではない」
インドの最高裁判所は9月6日、刑法第377条のうち、同性同士の性行為を禁じる部分を違憲とする判決を下した。
これまで刑法第377条が原因で、多くの人たちが差別や嫌がらせを受けてきた。2017年に結婚式を挙げた女性カップルのマンジットさんとサンドゥーさんもそうだ。
ハフポスト・インド版に掲載された、二人のストーリーを紹介する。
◇
パンジャブ警察署で刑務所長をしているマンジットさんは2017年6月、付き合っていた彼女のサンドゥーさんと盛大な結婚式を挙げた。式場だったお寺には、家族より見物客が集まった。
結婚式の写真には、幸せを願う人たちに見守られながら、行列の一番前で馬車に座る二人の姿がうつっている。
しかし、喜びは屈辱に変わることになる。撮影を依頼した写真家が、結婚式の写真をネット上に流出させたのだ。写真は拡散し、近所の人たちから嫌がらせを受けるようになった。さらにマンジットさんは、勤めていたパンジャブ警察署の上司から、正式に説明するよう求められた。
インドでは、同性婚が法律で認められていない。9月6日の歴史的な判決が下されるまで、同性同士での性行為も処罰に値する罪だった。
「私たちの愛は、他の人たちと何も変わらない純粋なものです。それにも関わらず、社会からは色欲であるかのように言われる」「でも、画期的な判決がそれを間違いだと証明しました。判決が大勢の私たちのようなカップルに、笑顔をもたらして欲しい」とマンジットさんは語る。
マンジットさんとサンドゥーさんの結婚は、まだ法的に認められていない。しかし、刑法第377条を違憲としたインド最高裁判所の判決により、今後は愛し合っているという理由で起訴される恐れがなくなるだろう。
今でも多くの人たちが、配偶者探しを親に任せているインドでは、マンジットとサンドゥーさんの出会い方は従来の結婚観念をひっくり返すものだった。
二人が出会った場所は、なんと刑務所。サンドゥーさんは当時、夫を殺害したとして、不当に起訴されていた。そしてマンジットさんはサンドゥーさんの看守だった。
「私はマンジットが、とても繊細で面倒見がいいことに胸を打たれました」と、サンドゥーさんは振り返る。2016年に無罪を宣告されたサンドゥーさん。刑務所から出た後にマンジットさんと会い、すぐに二人は恋に落ちた。そして1年後に結婚した。
「最初は家族に納得してもらうのが大変でした。しかし、一度納得してもらった後は、順調に進みました」とマンジットさんは話す。勤めていた警察署も、少しずつ態度を変えるようになったという。
しかし今でも、毎日のように多くの差別や屈辱に耐えなければいけないとマンジットさんは話す。
「私の名前を夫としてパスポートに書くことができないので、旅行ビザを取るのは大変です。私たちは最初の闘いに勝ちました。でも行き詰まっている社会の状態は、まだ壊せていません」
ハフポストインド版の記事を翻訳しました。