「就職面接や結婚式、オーディション、卒業式、ダンスパーティー。フォーマルなイベントに出向くための装いが必要なら、お手伝いします」ーー。ニューヨークの公共図書館のリバーサイド分館が8月、ネクタイや鞄の貸し出しを始めた。
「成長のためのファッション図書館」(Grow Up Fashion Library)と題したパイロット事業で、本の返却延滞の罰金が15ドル(1700円)未満の図書館利用者が対象。図書館が用意した、ネクタイ、鞄、ハンドバッグを1回につき3週間まで、無料で貸し出す。
ボストンのラジオ局「wbur」の番組「Here&Now」でのインタビューによると、この取り組みは、分館で働く若い図書館員の提案がきっかけで実現した。
図書館の関係者は番組のインタビューにこう話す。
「若者の就職支援のワークショップを担当していた図書館員が、ネクタイや鞄といった、社会人に必要なアイテムを参加者たちが手に入れられないでいることに気づいたんです」と説明する。「見栄えが良くなれば、気分が良くなって、さらに自信が持てますよね」
■本以外も貸します、アメリカの図書館
アメリカでは、就職や起業をサポートする公共図書館が多い。パソコンの使い方から履歴書の書き方、効果的な職探しの方法まで、図書館で日常的に講座が開かれている。フィラデルフィア公共図書館でも2016年、ネクタイを用意、就職活動などで使いたい利用者に貸し出す事業を始めている。
The Paschalville Library Branch even offers a tie collection that can be borrowed for job interviews #RebuildPHLpic.twitter.com/PhfEskbyGu
— Jim Kenney (@PhillyMayor) 2016年3月29日
ほかにも、ロードアイランド州のコベントリー公共図書館では 釣り道具を貸しだしたり、カリフォルニア州サクラメント図書館では3Dプリンターなどの最先端技術が使える場所を提供するなど、本を貸すにとどまらない、新しい図書館のかたちが広がっている。