はじめまして、柏村信光と申します。現地の日本人の方々には「かっしー」と呼ばれています。
マレーシアのマラヤ大学の大学院進学を機に、2008年にマレーシアに来ました。
最近は、かなりフォーマルなかっこうをしていてもアラブ人に間違えられます。
20代のほとんどをマレーシアで過ごし、いろいろなことがありましたが、先日無事に30歳となり、当地で香港系の投資コンサルティング会社の現地代表をしております。
▶クアラルンプールのランドマーク、ペトロナスツインタワーの前で
私の経験をもとに、今後読者の皆さんが少しでもマレーシアの「リアル」を感じ取られる情報をお伝えできればと思います。
初回ということで、マレーシアが日本人にとってどういう国かということを中心にお話しします。
▶マレーシアからは近隣アジアにもアクセスが楽。写真はバリ島を満喫する筆者
我慢しない、欲しいものは欲しい。日本とは正反対!
日本に帰ると、「マレーシアってどういう国なの?」という質問をよく受けます。
多民族国家、資源が豊富な国、意外ときれい、日本人が住みたい外国ランキング10年連続1位などさまざまな答えがあるのでしょうが、私の答えは大きくふたつあります。
ひとつは、マレーシアの人は欲に素直だということ。
そしてふたつめは、全員空気読めてない、むしろ空気を読むという概念が存在していない、なんなら全員「浮いている」ということです。
マレーシアで10年近く過ごして思うことは、国民性が日本とは逆な気がします。
▶多様な人種、多様な階層の人たちが毎日行き交うクアラルンプールのマスジッド・ジャメク駅
日本では「我慢してでもやる」や「欲しがらない」などが美徳のように受け止められるように思います。
一方マレーシアの場合、「やりたければやる。やりたくなければやらない」「欲しいものは欲しい。いらないものは、いらない」というように、人の感情がはっきりしているように感じます。
感情がすぐ表情に出るので、相手の表情を読みとる努力をする必要もありません。
そしてマレーシアの多くの人が、相手がどうだろうが、自分のペースでしか動きません。
もしそのなかで日本人が気を遣って浮かないように努力をしたとしても、それが逆に「浮いている」ように見える、というのもなかなかマレーシアらしいのではと思います。
型にはめない、この国の人たちに教えられること
このように、一見勝手気ままな人たちが集まっている国にもかかわらず、仕事だろうが友人関係だろうが一応成り立つのって、実はすごいことのような気がしませんか。
我々にとっては、輪郭のないぐちゃぐちゃなカオスに見えるような状態であっても、マレーシアでは、それがそのまま手を加えられずに存在しています。
▶活気あふれるクアラルンプール市内の繁華街
輪郭が無いのが当たり前なので、「人はこうあるべきだ」と型にはめようとするプレッシャーもありません。
マレーシアという国がある種の日本人にとって居心地の良い理由はここにあると思います。
仕事環境にしても同じことが言えるのではないでしょうか。
お互いがものすごいエネルギーを使って空気を読みあって、やたらと気を遣いあって、人間関係のバランスをとらなくても......、本当はもっと楽にいたって、物事は成り立つはず――。
マレーシアの在り方は、そんなことを自分に教えてくれている気がします。
いつでも帰ってきたい国
マレーシア国内の仕事が楽なことばかりだとは思いませんが、やるべきことをしっかりやっていれば、型にはめられ自分らしさを失ったり、世間にあわせる必要以上の負担も感じたりしないでしょう。
自分がありのままに生き、働くことができる国なのではないかと思います。
▶クアラルンプールの夕景
「かっしーはマレーシアに骨をうずめるんでしょ」なんてことも周りから言われますが、正直最後はハワイかオーストラリアに住みたいと思っています。
と言いつつ、マレーシアから完全に離れることもないと思います。
MM2H(マレーシアの長期滞在ビザ)なども生かし、いつでも帰ってこられる国に将来的にはしたいなと考えています。
そんな私自身も、マレーシアで生きることに満足しているのだなと思います。
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ライター
柏村 信光/Nobumitsu Kashiwamura
香港系資産運用コンサルタント会社の現地法人代表 1986年、青森県生まれ。2008年に来馬。マラヤ大学アジアヨーロッパ研究所で修士号取得。マレーシアで初の金融庁公認の日本人資産運用コンサルタントとなる。マレーシア日本人商工会議所や業種別MD会などで、定期的に講演を開催。クアラルンプールで80年代の人が交流するKL80年会の総幹事。好きな言葉は「気合い」。
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